大西洋と北極圏に挟まれたノルウェーは、壮大なフィヨルド、広大な山々、そしてオーロラの舞う空が広がり、世界中のドローン愛好家を圧倒します。
この記事では、ノルウェーのドローン規制や飛行時の注意点、ドローン持ち込みのポイントなどを解説しています。
レクリエーション飛行に焦点を絞った内容を記載しているため、ノルウェーで娯楽飛行を考えている方は、是非、最後まで読んでみて下さい。
目次
1. ノルウェーのドローン制度
①ノルウェーはEASA加盟国
②3つのカテゴリ
2. ノルウェーにおけるオペレーター登録について
①オペレーター登録の要件
②ノルウェーのオペレーター登録の流れ
3. 日本人はノルウェーのドローンを飛ばせる?
4. ノルウェーのレクリエーション飛行におけるルール
①トイドローンと250g未満のドローンについて
5. ノルウェーのオープンカテゴリの概要
①A1(個人製造機 / C0)
②A1(C1)
③A2(C2)
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
⑤ノルウェーのオープンカテゴリの試験概要
⑥Cマークの区分について
6. ノルウェーへのドローン持ち込みについて
7. ノルウェーの違反なドローン飛行に対する罰則
まとめ
1. ノルウェーのドローン制度
ノルウェーのドローン規制の運用は、おもに以下の機関が担っています。
・ノルウェー民間航空局(CAAN)
・ドローンを含む民間航空機に関する規制全般を担当
・ドローンの使用に関する安全基準や認証なども行う
・Avinor
・ノルウェーの空港の運営と航空交通管制を担当する機関
・ドローンの飛行エリアに関連する規制も一部担う
①ノルウェーはEASA加盟国
ノルウェーはEASAに加盟しているため、オペレーター登録は共有されます。
例えば、ノルウェーでオペレーター登録を行った場合、EASA加盟国であるドイツではオペレーター登録が不要です。
これは逆パターンも同様で、他のEASA加盟国で登録が完了していればノルウェーでは免除されます。
EASA加盟国は以下の27ヵ国です。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
②3つのカテゴリ
ノルウェーのドローンカテゴリは、EASAのドローン規制に基づき「Open(オープン)」「Specific(特定)」「Certified(認証)」の3つに分かれています。
それぞれのカテゴリはドローンの重量や操縦リスクによってカテゴライズされ、求められる知識やスキルが異なる仕組みです。
2. ノルウェーにおけるオペレーター登録について
ノルウェーでは、オペレーター登録が完了しなければドローン飛行ができません。
ここでは、オペレーター登録の要件と流れを解説します。
①オペレーター登録の要件
ノルウェーでは、以下に該当する場合にオペレーター登録を行います。
該当スペック | ・250g以上のドローン(個人製造機も同じルール) 【250g未満】 ・80ジュール以上の衝突エネルギーを伝達できる高速ドローン ・個人データを記録できるセンサーやカメラを搭載しているドローン |
最低年齢 | ・16歳以上 |
必要書類 | ・保険証券番号 ・公的機関のもの(パスポートなど) ・メールアドレス、電話番号 ・ドローンの仕様書 |
登録料 | 年会費230クローネ(3,125円) |
有効期間 | 3年 |
ノルウェーのドローン保険
ノルウェーでは「航空法に基づく補償金額特別引出権750,000ユーロ」のドローン保険加入が義務です。
日本の保険会社では、東京海上日動や三井住友海上がノルウェーのドローン規制に対応している場合があるため、事前に確認しましょう。
参考:https://www.dronespace.at/registrierung
参考:https://luftfartstilsynet.no/en/drones/flying-in-norway/
②ノルウェーのオペレーター登録の流れ
オペレーター登録の流れは、以下の通りです。
1, flydrone.noでオペレーター登録を行う
2, オペレーター番号が発行されたのち、自身のドローンに貼って完了
発行されたオペレーター番号は、自身が所有するすべてのドローンに貼る義務があります。
これを怠ると罰則になるため、オペレーター登録後すぐに行いましょう。
参考:https://luftfartstilsynet.no/en/drones/flying-in-norway/
3. 日本人はノルウェーでドローンを飛ばせる?
ノルウェーは日本人でも、オペレーター登録とライセンスを取得することでドローン飛行が可能になります。
また、他のEASA加盟国で登録が完了していればノルウェーでのオペレーター登録は免除されます。
参考:https://rise.articulate.com/share/H0ZTFmqESotDUeD3ndHHPz1mjeainQKK#/lessons/kqIDcoT6kW4bqnx_M-rYYFN7Q80E0aU8
4. ノルウェーのレクリエーション飛行におけるルール
ノルウェーでオペレーション飛行する際、以下のルールを遵守する必要があります。
・オペレーター登録必須
・最高高度120m以内
・モノを落とさない、危険物の輸送禁止
・ドローンには、オペレーター番号を貼る
・他人の頭上、人混み、祭りやスポーツイベント上空の飛行禁止
・最低年齢は16歳以上
-13~15歳は16歳以上のライセンス保持者の下で飛行可能
-また、単独では無料のコースや試験を受験できる
・1:1ルールの遵守
-他人との水平距離は飛行高度以上に保つ(飛行高度が30mなら水平距離は30m以上離す)
・75 万 SDR (特別引出権) をカバーする第三者賠償責任保険に加入
・カメラなどのセンサー機器は、飛行前にノルウェー国家安全補保障局に登録する
・原則直接目視(VLOS)
-操縦者の隣にオブザーバー(監視員)がいればゴーグルや1人称視点(FPV)でも可能
・夜間飛行は、直接目視できる範囲内なら飛行可能
-ドローン下部に緑色の点滅ライトを付ける義務がある。
・ドローンレースは、観客なしのプライベートイベントであればオープンカテゴリでも可能
・他人のプライバシーを侵害しない(GDPRの規則に則る)
・リモートID装備
・飛行制限エリア
-管制塔の許可なく空港から5km以内は禁止
-ノルウェー環境庁指定の国立公園と保護地域
-ノルウェー国家安全保障局が定めた空撮禁止エリア
-刑務所、大使館、軍事地域と船舶
①トイドローンと250g未満のドローンについて
賠償責任保険 | オペレーター登録 | 試験・講習 | |
トイドローン | 不要 | 不要 | 不要 |
250g未満ドローン (カメラなし) | 必要 | 不要 | 不要 |
259g未満ドローン (カメラあり) | 必要 | 必要 | 不要 |
トイドローンとは、directive 2009/48/EFに準拠し、CEマークが付いているものが該当します。
トイドローンは保険加入やオペレーター登録、試験が免除されます。
250g未満の小型ドローンは、カメラやセンサーの有無で要件が変わります。
なお、試験や講習が免除されていますが、当局は飛行前に無料オンラインコースの受講を推奨しています。
・無料オンラインコース
・A1/A3無料オンラインコース
参考:https://luftfartstilsynet.no/globalassets/dokumenter/dronedokumenter/nytt-eu-regelverk/drone–easa-tabell-2023_engelsk.pdf
https://luftfartstilsynet.no/en/drones/veiledning/open-category/
5. ノルウェーのオープンカテゴリの概要
ここでは、レクリエーション飛行を行うためのオープンカテゴリを解説します。
①A1(個人製造機 / C0)
該当スペック | ・重量250g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・オペレーター登録 | ・不要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
②A1(C1)
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・flydrone.noでA1/A3コースを受講する・オンラインテスト |
飛行制限 | ・高度120m(400ft)以下 ・関係者以外の上空飛行禁止 |
オペレーター登録・リモートID | ・必要 |
ノルウェーのC1カテゴリは、最大飛行重量900gまでの軽量ドローンに適用されます。
基本的に目視飛行が求められ、飛行中は常にドローンを視界に入れて操作します。最大飛行高度は120メートルまで許可され、飛行は低リスクで安全に行うことが求められます。
C1のドローンは、一般的なレクリエーションや簡単な業務に適しており、安全かつ効率的な運用を目的としています。
③A2(C2)
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・A1 / A3ライセンス保持前提 ・A1 / A3コースでの自主飛行トレーニング ・A2の試験合格(運転免許事務所で受験) |
飛行制限 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・第三者から水平距離で30m以上離れる (低速モードでは5m以上) ・1:1ルール |
オペレーター登録・リモートID | ・必要 |
ノルウェーのA2カテゴリは、最大飛行重量4kgまでのドローンに適用され、目視飛行が基本です。
操縦者はドローンを常に視界に入れて操作し、安全距離を保ちながら飛行します。
最大高度は120メートルまで許可され、自動飛行も可能ですが、操縦者は一定の技術を持っていることが求められます。
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・flydrone.noでA1/A3コースを受講する・オンラインテスト |
飛行制限 | ・高度120m(400ft)以下 ・作業領域に他人を入れない ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・第三者から水平距離で30m以上離れる ・1:1ルール |
オペレーター登録・リモートID | ・必要 ・模型航空機と個人製造機は不要 |
ノルウェーのA3カテゴリは、低リスクな場所でのドローン飛行を対象としています。
A3に該当するドローンは、飛行時に他人や物から十分な距離を保ちながら運用する必要があり、最小距離150メートル以上の安全距離を確保することが求められます。
これにより、ドローンの飛行が人や物への危険を最小限に抑えることができ、広範囲での業務やレクリエーション飛行が安全に行えるでしょう。
⑤ノルウェーのオープンカテゴリの試験概要
ノルウェーにおけるオープンカテゴリの試験に関する要件は、以下の通りです。
・試験内容
-ドローン規制や基本的な操作、飛行時のリスクなどが出題
・試験形式
-複数の回答から正解を選ぶ多岐選択形式
-問題数は30問
-合格ラインはA1 / A3は75%以上の正答率、A2は80%以上の正答率
・受験方法
-A1 / A3試験はオンラインで受験可能(flydrone.noからアクセス)
-A2試験はオンラインで講習を受けた後、運転免許センターで直接受験
・試験料金
-A1 / A3試験は無料
-A2試験は900クローネ(12,230円)
・ライセンスの有効期間
-5年間
-再試験や更新が必要
参考:https://luftfartstilsynet.no/en/drones/flying-in-norway/
https://flydrone.no/register
⑥Cマークの区分について
ノルウェーを含むEASA加盟国では、ドローン製造者によるCマークの貼付が義務付けられています。
Cマークは、そのカテゴリの飛行要件を満たしている証です。
オープンカテゴリでは、C0~C4までのマークがあるドローンを飛行させることが可能です。
Cマーク | 対応サブカテゴリ | ドローン重量 |
C0 | A1 | 250g未満 |
C1 | A1 | 900g未満 |
C2 | A2 / A3 | 4kg未満 |
C3 / C4 | A3 | 25kg未満 |
なお、Cマークがない250g~25kgまでのドローンは、A3扱いになります。
参考:https://rise.articulate.com/share/H0ZTFmqESotDUeD3ndHHPz1mjeainQKK#/lessons/0Ci05AVTn2ChYXRSPYlUR4ISr4yBKvCm
6. ノルウェーへのドローン持ち込みについて
ノルウェーへドローンを持ち込む際は、リチウム電池に注意が必要です。
以下は、KLM航空やエールフランス、IATA(国際航空運送協会)の手荷物規約を参考にした表です。
ワット(Wh) | 機内持ち込み | 受託手荷物 | 事前許可 | 制限 |
~100Wh | 可能 (端末内または予備電池) | 可 (端末内のみ) | 不要 | – 端末15台まで- 予備電池20個まで |
100~160Wh | 可能 (端末内または予備電池) | 可能 (端末内のみ) | 必要 (事前許可) | – 予備電池は最大2個 |
160Wh~ | 不可 | 不可 | – | 貨物としてIATA危険物規則に従って輸送が必要 |
持ち込み可能なリチウム含有量は2g以下です。
2gを超えるものは、受託、手荷物問わず持ち込みできません。
リチウム電池の持ち込み制限は航空会社によって異なるため、事前に利用する航空会社へ問い合わせましょう。
参考:
KLM航空(オランダ航空)
IATA
エールフランス
7. ノルウェーの違法なドローン飛行に対する罰則
ノルウェーのドローン規制に違反した場合、罰金や懲役、ドローンの没収や国外追放の可能性といった罰則が科される可能性があります。
2024年2月、観光客が飛行制限区域での無断ドローン飛行と高度超過の違反を犯したため、1万2千クローネ(約16万円)の罰金刑に加えてドローンを没収されることになりました。
ドローン飛行を行う際は、必ず法令を遵守しましょう。
参考:https://www.sysselmesteren.no/en/news/2024/02/illegal-drone-flight-resulted-in-a-fine-of-nok-12000/#:~:text=The%20 Governor%20has%20 imposed%20a,The%20fine%20has%20been%20accepted.&text=It%20was%20on%20Wednesday%2014,The%20fine%20has%20been%20accepted.
まとめ
この記事では、ノルウェーのドローン規制やレクリエーション飛行時の注意点などを解説しました。
ノルウェーは、EASAのドローン規制を準拠しているため、他のEASA加盟国と同じルールでドローン飛行を楽しむことができます。
壮大な大自然や伝統的な木造建築など、日本とは違う魅力に溢れたノルウェーでドローンを飛ばしてみましょう。
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