イタリアの美しい風景をドローン撮影をしたい方は多いでしょう。
しかし、イタリアではドローンの飛行に関する規制が厳しく、場所によっては禁止されていることもあります。
罰金や機材の没収などの思わぬトラブルに巻き込まれないよう、事前にしっかりとした情報収集が大切です。
この記事では、イタリアにおけるレクリエーション目的でドローン飛行を行う手続きと遵守すべきルール、ドローン制度について解説しています。
イタリアでドローン飛行を計画している方は、是非、最後まで読んでみてください。
目次
1. イタリアのドローン制度
①イタリア全土で共通しているドローン飛行のルール
②日本の証明書は無効
2. イタリアでドローンを飛ばす流れ
①d-flightにオペレーター情報を登録する
②該当するスペックのリモートパイロット証明書を発行する
③ 保険に加入する
3. Openカテゴリのクラス概要
①A1(個人製造機 / C0)
②A1(C1)の概要と試験内容
③A2(C2)の概要と試験内容
④A3(C3 / C4 / 個人製造)の概要と試験内容
4. イタリアにおけるドローン飛行の罰則
まとめ
1. イタリアのドローン制度
イタリアのドローン飛行は、イタリア民間航空局(ENAC)の下で運用されていましたが、2024年1月1日から欧州連合航空安全局(EASA)の規則に移行しました。
ドローン飛行は、3つのカテゴリー(Open、Specific、Certified)に分類され、それぞれ可能な飛行条件や試験などが異なります。
カテゴリ | Open | Specific | Certified |
可能なドローン飛行 | ・最大25kgまで ・最大高度120m ・目視飛行 ・航空施設から所定の距離が必要 | ・目視外飛行 ・人口密集地 ・高度な自動化飛行 ・特定条件で都度申請が不要 | ・高度な知識と技術を伴った飛行 ・有人飛行と同じ規制が適用される |
①イタリア全土で共通しているドローン飛行のルール
カテゴリー共通のドローン飛行のルールは以下の通りです。
・製造者適合宣言とオペレーター識別番号、クラス識別ラベルをドローンに貼る
・第三者上空の飛行はできない
・目視外飛行はできない
・対象年齢16歳以上(18歳未満は保護者や親権者の身分証のコピーが必要)
・高度120m(400ft)以下
・群衆上の飛行不可
・夜間飛行不可
・空港や特定地域、他のドローン付近での飛行不可
・保険に加入する
②日本の証明書は無効
イタリアは、日本のドローンライセンスに対応していないため、新たに取得する必要があります。
イタリアでライセンスを取得すると、以下のEASA加盟国であればどの国でもドローン飛行が可能です。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
2. イタリアでドローンを飛ばす流れ
イタリアでドローン飛行を行うには、以下の3点が必要です。
①d-flightにオペレーター情報を登録する
d-flightは、サブスクリプションタイプの国家公認ドローンサービスポータルです。
重量250g未満のトイドローンを除くすべてのドローン操縦者は、d-flightによるオペレーター登録が義務付けられています。
基本利用料は6ユーロ / 月、さらに充実したサービスを利用するなら24ユーロ / 年です。
②該当するスペックのリモートパイロット証明書を発行する
イタリアでドローン飛行を行う際は、ドローンのスペックに該当する試験に合格しなければなりません。
試験は、カテゴリによって学科試験と実技試験があり、合格するとリモートパイロット証明書が発行されます。
③保険に加入する
イタリアでは、保険の加入が義務付けられています。
さまざまなタイプの保険があるため、目的に合った保険に加入しましょう。
参考:https://www.enac.gov.it/sicurezza-aerea/droni/categoria-aperta-open-category/requisiti-generali-per-operare-nella/
https://www.easa.europa.eu/it/light/topics/drone-insurance
3. Openカテゴリのクラス概要
イタリアでレクリエーション目的のドローン飛行を行う場合は、「Open」カテゴリ内のルールが適用されます。
OpenはA1~A3に分かれており、ドローンのスペックによってC0~C4にクラス分けされています。
ここでは、Openカテゴリのクラスを解説していきます。
①A1(個人製造機 / C0)の概要
該当スペック | ・重量250g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・U-Spaceの登録 | ・不要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
②A1(C1)の概要と試験内容
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・ENACによるオンラインテスト |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
C1に該当するドローンを操縦する場合、ENACのオンラインテストに合格しなければなりません。
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:60点以上 / 80点
・受験料:31ユーロ
・証明書の有効期間:5年
1回の支払いで最大4回まで受験可能です。4回で合格しなかった場合は、受験料を支払うことで再び4回挑戦できます。
参考:https://www.enac.gov.it/sicurezza-aerea/droni/piloti-uas/come-si-diventa-pilota-uas-drone-open-a1a3/
③A2(C2)の概要と試験内容
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・ENACによるオンラインテスト+実技 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・第三者から水平距離で30m以上離れる (低速モードでは5m以上) |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
A2は、A1 / A3カテゴリの合格が前提要件です。
A2の試験は学科だけでなく、実践的な実技試験もあります。
・実技:試験官のビデオ監視の下での飛行
-気象学やリスク管理、運用スキル、ドローンの飛行技術
・実技試験の料金:実施する認定団体によって異なる
・学科:制限時間60分以内で行う選択式
-30問出題され、正しい解答を選択
-45点 / 60点中で合格
・受験料:31ユーロ(学科試験のみ)
・証明書の有効期間:5年
学科試験は、1回の支払いで最大5回まで受験可能です。5回で合格しなかった場合は、受験料を支払うことで再び4回挑戦できます。
また、自身で受験する場合は、EnacがリリースしているOPEN A2 試験セッションカレンダーに従う必要があります。
なお、Enac認定団体によっては、教材+トレーニング+オンラインテストをセット販売しているところもあります。
Enacが記載されているA2要件に「è cittadino italiano maggiorenne e in possesso di SPID.(イタリア国民であり、SPIDを所有している年齢)」とありますが、Enacに問い合わせたところ、外国人でも取得可能とのことでした。
参考:https://www.enac.gov.it/sicurezza-aerea/droni/piloti-uas/come-si-diventa-pilota-uas-drone-open-a2/
④A3(C3 / C4 / 個人製造)の概要と試験内容
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・ENACによるオンラインテスト |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・第三者から水平距離で30m以上離れる |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 ・模型航空機と個人製造機は不要 |
A3に該当するドローンを操縦する場合は、A1と同じオンラインテストを受験します。
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:60点以上 / 80点
・受験料:31ユーロ
・証明書の有効期間:5年
参考:https://www.enac.gov.it/sicurezza-aerea/droni/piloti-uas/come-si-diventa-pilota-uas-drone-open-a1a3/
4. イタリアにおけるドローン飛行の罰則
イタリアで違法なドローン飛行を行った場合、高額な罰金刑が科されます。
過去の実例を見てみましょう。
・2016年、飛行可能区域を超えたドローン飛行により、最大11万ユーロ(約1,600万円)以上の罰金刑の見通し
・2022年、ローマの飛行禁止区域を飛行したとして、550~6万8千ドル(約1,030万円)の罰金刑が科せられる
海外の罰則は日本よりも厳しいため、ドローン飛行を行う際は必ず法律を遵守しましょう。
参考:https://www.fotowireless.it/drone-multa-arresto-sanzioni.html
https://www.infobae.com/jp/2022/04/25/an-argentine-tourist-crashed-a-drone-into-a-historic-building-in-rome-and-will-face-a-fine-of-between-550-and-68000-dollars/
https://europe.nna.jp/news/show/1476419
まとめ
イタリアは、2023年に行われたヨーロッパ観光客数ランキングで3位に入るほど魅力的な国です。
ペナルティは日本よりも厳しいですが、法律を遵守することで素敵な映像を残せることでしょう。
美しい建造物や雄大な自然を、是非、自身のドローンで収めてください。
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