ベートーベンやモーツァルトなどの出身地として知られる音楽の都オーストリアに魅力を感じている方は多いでしょう。
オーストリアはEASA(欧州航空安全庁)の規制で運用されており、ヨーロッパでドローン飛行の経験がある方なら馴染深いでしょう。
この記事では、レクリエーション目的におけるオーストリアのドローン制度やオペレーター登録、ライセンスなどを解説しています。
オーストリアでドローン飛行を検討している方は、是非、最後まで読んでみて下さい。
目次
1. オーストリアのドローン制度
①オーストリアはEASA加盟国
2. オーストリアにおけるオペレーター登録について
①オペレーター登録の要件
②オーストリアのドローン保険
③オーストリアのオペレーター登録の流れ
④日本人はオーストリアでドローンを飛ばせる?
⑤オーストリアへのドローン持ち込みについて
3. オーストリアのレクリエーション飛行のルール
4. オーストリアのOPENカテゴリについて
①A1(個人製造機 / C0)
②A1(C1)
③A2(C2)
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
5. オーストリアの違法なドローン飛行に対する罰則
まとめ
1. オーストリアのドローン制度
オーストリアは、Austro Control(オーストリア民間航空局)がドローン規制の管理、運用を行っています。
また、オーストリアはEASA(欧州航空安全庁)に加盟しており、ドローン規制はEASAに準拠しています。
Austro Controlが担っている業務は以下の通りです。
・ライセンス試験の実施、発行
・オペレーター登録
・ドローン規制やガイドラインの策定
・飛行許可の管理
・ドローン事故や違反への対応
なお、Austro Controlへの問い合わせは公式Webサイトから可能です。
①オーストリアはEASA加盟国
オーストリアはEASAに加盟しているため、オペレーター登録およびライセンスは共有されます。
例えば、オーストリアでオペレーター登録を行った場合、EASA加盟国であるドイツではオペレーター登録が不要です。
これは逆パターンも同様で、他のEASA加盟国で登録が完了していればオーストリアでは免除されます。
EASA加盟国は以下の27ヵ国です。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
2. オーストリアにおけるオペレータ-登録について
オーストリアでレクリエーション目的でドローンを行う際、オペレーター登録を行う義務があります。
他のEASA加盟国ではドローン本体も登録する場合がありますが、オーストリアではオペレーターだけで問題ありません。
①オペレーター登録の要件
オーストリアでは、以下に該当する場合にオペレーター登録を行います。
該当スペック | ・250g以上のドローン(個人製造機も同じルール) 【250g未満】 ・80ジュール以上の衝突エネルギーを伝達できる高速ドローン ・個人データを記録できるセンサーやカメラを搭載しているドローン |
最低年齢 | ・18歳以上(18歳未満は法定後見人が代理で行う) |
必要書類 | ・保険証券番号 ・公的機関のもの(パスポートなど) ・メールアドレス、電話番号 ・ドローンの仕様書 |
登録料 | 32.40ユーロ |
有効期間 | 3年 |
②オーストリアのドローン保険
オーストリアでは「航空法に基づく補償金額特別引出権750,000ユーロ」のドローン保険加入が義務です。
日本の保険会社では、東京海上日動や三井住友海上がオーストリアのドローン規制に対応している場合があるため、事前に確認しましょう。
参考:https://www.dronespace.at/registrierung
③オーストリアのオペレーター登録の流れ
オペレーター登録の流れは、以下の通りです。
1, Austro ControlのWebサイトでアカウントを作成する。
2,登録ページからオペレーター登録を行う
3,オペレーター番号が発行されたのち、自身のドローンに貼って完了
発行されたオペレーター番号は、自身が所有するすべてのドローンに貼る義務があります。
怠ると罰則になるため、オペレーター登録後すぐに行いましょう。
参考:https://www.dronespace.at/jart/prj3/dronespace/main.jart?rel=de&content-id=1601679780074
④日本人はオーストリアでドローンを飛ばせる?
日本人は、オーストリア人と同様の手続きを行えばドローン飛行が可能です。
たとえ日本でライセンスを保有していても、EASAのライセンスと互換性がないため、現地で再取得しなければなりません。
また、出発前にはオーストリアで使えるドローン保険に加入しておきましょう。
参考:https://www.easa.europa.eu/en/light/topics/travelling-drones#:~:text=Non%2DEU%20residents%20visiting%20Europe,is%20disabled%20in%20your%20browser.
⑤オーストリアへのドローン持ち込みについて
ドローンに使われるリチウム電池の持ち込みは、航空会社によって異なります。
日本人の利用者が多い航空会社を例に挙げます。
100Wh以下 | 100~160Wh | |
オーストリア航空 | 20個まで可能 | 2個まで |
ルフトハンザ航空 | 20個まで可能 | 2個まで |
上記の2社に関わらず、リチウム電池は160Whまでなら手荷物として持ち込み可能です。
また、大半の航空会社は預け入れは不可能であり、ワット数によって持ちこめる個数が変わります。
なお、リチウム電池に含まれるリチウム含有量が2g以上、および100~160Whの電池は輸送許可証が必須です。
空港でのトラブルを防ぐためにも、利用する航空会社に問い合わせましょう。
参考:オーストリア航空のリチウムバッテリーに関する規定
ルフトハンザ航空のリチウムバッテリーに関する規定
3. オーストリアのレクリエーション飛行におけるルール
レクリエーション目的のドローン飛行では、以下のルールが原則となります。
・最大飛行可能高度:120m(400ft)
・原則直接目視:以下は免除
-250g未満のドローンでフォローミーモードを使用
-1人称視点操作時、観測者が隣にいるとき
・操縦者とドローンの距離は500m以内
・夜間飛行禁止
・空港、飛行場の周囲、飛行制限区域、保安区域、軍事施設などの上空は禁止
・危険物の輸送、投下は厳禁
・ライセンス取得年齢は16歳以上、オペレーター登録は18歳以上
上記以外にも、飛行する自治体によってルールが異なるケースがあります。
飛行前は、必ず自治体や土地の所有者に確認しましょう。
参考:https://www.dronespace.at/open
4. オーストリアのOPENカテゴリについて
オーストリアのドローンカテゴリは、EASAのドローン規制に基づき「Open(オープン)」「Specific(特定)」「Certified(認証)」の3つに分かれています。
それぞれのカテゴリはドローンの重量や操縦リスクによってカテゴライズされ、求められる知識やスキルが異なる仕組みです。
ここでは、レクリエーション飛行を行うための「Open」カテゴリを解説します。
①A1(個人製造機 / C0)
該当スペック | ・重量250g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・群衆の上空の飛行禁止 |
オペレーターの登録 | ・不要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
②A1(C1)
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインテスト |
飛行制限 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
オーストリアのA1ライセンスは、オープンカテゴリのドローン飛行に必要な基本的な資格です。
最大250gまでのドローン飛行が可能になり、試験では安全規則や飛行操作に関する基本的な知識が問われます。
③A1 / A3ライセンスを取得する流れ
1, AC(民間航空局)の公式Webサイトからオペレーター登録を行う
2, オンライン試験に合格する
・制限時間:60分以内
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:正答率75%以上
・受験料:無料
・証明書の有効期間:5年
・再受験は可能
3, 合格証明書を受け取る
参考:https://www.dronespace.at/drohnenfuehrerschein
③A2(C2)
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインテスト ・自己実践トレーニング |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・第三者から水平距離で30m以上離れる (低速モードでは5m以上) |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
A2ライセンスは、オープンカテゴリのドローン飛行に必要な資格で、最大4kgまでのドローンを扱うことができます。
このライセンスは、特に都市部や人が多い場所での飛行を許可するために必要です。
試験はオンラインで受けることができ、より高度な安全規則や高度な操縦技術、気象条件に関する知識が求められます。
A2ライセンス取得の流れ
1, A1 / A3証明書を取得
2, 自己トレーニング証明書を取得する
・自己トレーニングは、A2に必要な飛行スキルを自分で練習する
・申請フォームに記入して提出
・練習の際は、人気のない住宅地や商業地、工業地またはレクリエーション施設から150m以上離れた場所で行う
3, A2のオンラインテストに合格する
・理論テスト:30問の多岐選択式
・合格ライン:75%以上の正答率
・試験範囲:気象や飛行ルールなど(A2の学習目標)
・受験料:43.20ユーロ(学科試験のみ)
・証明書の有効期間:5年
・受験には予約が必要(参加者が少数の場合キャンセルされる)
・申請フォーム
参考:https://www.easa.europa.eu/en/the-agency/faqs/drones-uas#category-requirements-under-the-%E2%80%98open%E2%80%99-category
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインテスト ・オンライントレー二ング |
飛行要件 | ・高度120m以下で飛行 ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・他人や群衆付近の飛行禁止 |
オペレーターID | ・必要 |
A3ライセンスは、オープンカテゴリのドローン飛行において、最大25kgまでのドローンを扱うための資格です。
主に人口密度が低い地域や広大な空間での飛行が許可されます。
試験はオンラインで受けられ、飛行禁止区域や安全規則に関する知識が問われます。
特に広い空間での使用が想定されるため、飛行時の安全確保が重要です。
A1 / A3ライセンスを取得する流れ
1, AC(民間航空局)の公式Webサイトからオペレーター登録を行う
2, オンライン試験に合格する
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:正答率75%以上
・受験料:無料
・証明書の有効期間:5年
・再受験は可能
3, 合格証明書を受け取る
参考:https://www.dronespace.at/drohnenfuehrerschein
5. オーストリアの違法なドローン飛行に対する罰則
オーストリアでは、航空交通規則、航空交通法、ドローン規則に違反する飛行を行った場合、最高50,000ユーロの罰金の可能性があります。
また、航空交通に対して危険な妨害を行った場合は懲役刑の可能性もあるため、法令を遵守してドローン飛行を楽しみましょう。
参考:https://www.airclip.de/Are-there-fines-for-operating-drones-without-a-drone-licence
まとめ
この記事では、オーストリアのドローン規制や飛行ルール、注意点などを解説しました。
オーストリアは街並みや大自然といった景観の良さだけでなく、乗り換えせずに行ける利便性の高さが魅力の1つでもあります。
また、EASA加盟国であるため、隣国のドイツやイタリアにも足を伸ばしたいものです。
ところで、「おしんドローンスクール」ではドローンの国家資格が取得できることをご存じですか?
おしんドローンスクールで国家資格講習を学ぶ「4つのメリット」
メリット1:初心者でも安心して受けられる
おしんドローンスクールの国家資格講習は、ドローン操縦の基礎から実践まで、プロの講師が丁寧に指導します。少人数制で、一人ひとりのレベルに合わせて学習できるので、初心者でも安心して受けられます。
メリット2:最短二日でドローン国家資格が取得できる
最短一泊二日でドローンの国家資格を取得することができます。忙しい方でも、短期間で資格取得を目指せます。
メリット3:e-Learningで忙しい方もスマホで簡単に学習可能
おしんドローンスクールの学科講習はe-Learningで完結します。パソコンやスマホで受講できるので、忙しい方でもスキマ時間に学習できます。
メリット4:屋外で広々と練習することができる
空撮体験など屋外で広々と練習することができます。屋外で練習することで、実践的なスキルを身につけることができます。自然豊かな場所の利点を活かした講習が可能です。