広大な国土と雄大な自然を持つカナダは、日本人の旅行先や留学先として人気があります。
また、カナダ国民だけでなく、外国人でも気軽にドローン飛行ができる制度であるため、ドローンは急速に普及している国でもあります。
この記事では、カナダのドローン制度や飛行ルールに加え、外国人がレクリエーションドローンを飛ばすための方法などを解説しています。
カナダのドローン事情に興味がある方は、最後まで読んでみてください。
目次
1. カナダのドローン制度
①BasicとAcvancedはドローン登録が必要
2. カナダにおけるドローン飛行の原則
3. カナダのレクリエーション飛行における2つのカテゴリ
①Basic
②Advanced
4. 外国人がカナダでドローン飛行を行うには?
5. カナダのドローン飛行の罰金制度
まとめ
1. カナダのドローン制度
カナダのドローン飛行に関するルールは、カナダ運輸省が定めているカナダ航空規則(Canadian Aviation Regulations(CARs))に準拠しています。
カテゴリは、Basic、Advanced、Specificの3つです。
レクリエーションドローンを飛ばす場合はBasicとAdvancedのライセンスを取得しましょう。
Specificカテゴリである重量25kg以上かつ特別な条件でのドローン飛行、および外国人はSFOC-RPAS(特別飛行業務証明書)が必要です。
マイクロドローンと呼ばれる重量が250g未満のものを操縦する場合はライセンスや申請は必要ありません。
Transport Canada – Find your category of drone operation
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/learn-rules-you-fly-your-drone/find-your-category-drone-operation
①BasicとAcvancedはドローン登録が必要
これらのカテゴリはドローン登録が義務付けられています。
必要な情報は以下の3つです。
・ドローンの購入日
・ドローンのメーカー、モデル、シリアル番号、重量、タイプ
・クレジットカード(VISA、Mastercard、Amex)
ドローンの登録料は、カテゴリに関係なく5ドルです。
Transport Canada – Registering your drone: Overview
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/registering-your-drone-overview
2. カナダにおけるドローン飛行の原則
カナダでレクリエーション飛行する際、以下の条件を守らなければなりません。
飛行ルール
・非管制空域での飛行
・他人から水平30m(100ft)以上離し、かつ頭上を避ける飛行
・認定空港または軍用飛行場から3海里(5.6km)以上離れた飛行
・認定ヘリポートから1海里(1.9km)以上離れた飛行
・高度122m(400ft)以内の飛行
・直接目視できる飛行(ドローンにライトがあれば夜間飛行も可能)
・消火や救助、捜索など緊急活動エリア外での飛行
・野外コンサートやパレードなどの人混み以外での飛行
・他の有人航空機やドローンから離れた場所での飛行
これらのレギュレーションに違反した場合、罰金や懲役などの罰則が科せられる可能性があります。
Transport Canada – Flying your drone safely and legally
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/learn-rules-you-fly-your-drone/flying-your-drone-safely-legally
3. カナダのレクリエーション飛行における2つのカテゴリ
ここでは、空撮をはじめとしたレクリエーション目的のドローン飛行について解説します。
趣味や娯楽目的でドローンを飛ばす場合、BasicかAdvancedのライセンスが必須です。
各カテゴリの概要と手続きを深掘りしていきます。
①Basic(基本操作)
年齢制限 | ・14歳以上(14歳未満の場合、ライセンス保持者の監督が必要) |
試験 | ・Small Basic Exam(小規模基礎試験) |
手続き | ・ドローンポータルでドローンを登録する ・小規模基礎試験に合格する ・飛行時にライセンス証明書を携行する |
飛行可能空域 | ・飛行ルールの原則と同じ範囲内 |
Basicは、ドローンの飛行ルール内で飛行可能です。
Small Basic Exam(小規模基礎試験)の概要
試験内容 | オンラインでの筆記試験 |
受験料 | 10ドル |
試験形式 | 出題数35問、多岐選択形式 |
制限時間 | 90分 |
合格ライン | 正答率65%以上 |
Basicのオンライン試験は、カナダの航空法や航空規則に基づいた問題が出題され、試験の合否はドローンポータルからすぐに通知されます。
不合格だった場合でも24時間後に再受験でき、回数に制限はありません。
なお、ドローン飛行の経験を問わず、試験前はドローン学校に通うことが国から推奨されています。
Transport Canada – Take a drone pilot online exam: Small Basic Exam
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/drone-pilot-licensing/take-drone-pilot-online-exam-small-basic-exam
②Advanced(高度な操作)
年齢制限 | ・16歳以上(14歳未満の場合、ライセンス保持者の監督が必要) |
試験 | ・Small Advanced Exam(小規模上級試験) ・フライトレビュー(実技試験) |
手続き | ・ドローンポータルでドローンを登録する ・小規模上級試験に合格する ・フライトレビューに合格する ・飛行時にライセンス証明書を携行する |
飛行可能空域 | ・管制空域 ・他人から水平30m(100ft)以内、かつ頭上の飛行 ・認定空港または軍用飛行場から3海里(5.6km)以内 ・認定ヘリポートから1海里(1.9km)以内 ・その他は原則と同じ |
Advancedのライセンスを取得すると、飛行可能空域が広がります。
ただ、管理空域の飛行は航空管制局(NAV CANADAまたは国防省)から許可を得なければならない点に注意しましょう。
Small Advanced Exam(小規模上級試験)の概要
試験内容 | オンラインの筆記試験 |
受験料 | 10ドル |
試験形式 | 出題数50問、多岐選択形式 |
制限時間 | 60分 |
合格ライン | 正答率80%以上 |
小規模上級試験は、高度な飛行をするため、より確実な知識が必要です。
このカテゴリは基礎試験よりも出題数が増えるだけでなく、制限時間が短くなり合格ラインも厳しく設定されています。
合格した場合はドローンポータルに通知され、飛行審査を受験します。不合格の場合は24時間後に再受験可能です。
Transport Canada – Find your category of drone operation
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/learn-rules-you-fly-your-drone/find-your-category-drone-operation
Transport Canada – Advanced operations
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/learn-rules-you-fly-your-drone/find-your-category-drone-operation#advanced
Advancedのフライトレビュー概要
Advancedは小規模上級試験に合格後は、試験官の前で飛行審査(フライトレビュー)を行います。
フライトレビューは、カナダのドローン学校に直接連絡し、以下の3点を提出します。
・ドローンポータルの合格した小規模上級試験のページ(紙のコピーでも可)
・生年月日と氏名が記載された公的な身分証明書(パスポートなど)
・フライトレビューに使用するドローン登録証明書
フライトレビューの合否は、リンクが記載されたメールから確認でき、合格の場合はAdvancedパイロット証明書の申請が可能です。この証明書は2年の有効期限がある点に注意しましょう。
不合格の場合は翌日以降に再審査を行います。試験回数に制限はありませんが、受験料はその都度かかります。
なお、フライトレビューの受験料はドローン学校によって異なるため、予算に合ったドローンを選ぶといいでしょう。
Transport Canada – Complete a flight review for drones
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/drone-pilot-licensing/complete-flight-review-drones
4. 外国人がカナダでドローン飛行を行うには?
ライセンス | SFOC-RPAS(特別飛行業務証明書) |
対象者 | カナダ国民や永住者以外、連邦法や州法に基づく法人以外 |
試験 | 小規模基本試験または小規模上級試験 |
有効期限 | 1年間 |
ドローン登録 | 不要 |
外国人がカナダでドローン飛行を行う際は、SFOC-RPASの取得が必要です。
重量250g未満のマイクロドローンはライセンス不要)
SFOC-RPASは、外国人やSpecificカテゴリの飛行ライセンスであり、審査から発行まで時間を要する場合があります。(最大30営業日)
また、外国人はカナダ国民と同様の試験に合格しなければならず、一定以上の言語能力も必須です。
注意点として、カナダでは外国のライセンスと互換性がありません。母国のライセンスのみで飛行すると無免許飛行に該当するため、必ずカナダのライセンスを取得しましょう。
Transport Canada – Get permission to fly a drone as a foreign pilot or operator
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/drone-pilot-licensing/get-permission-special-drone-operations/get-permission-fly-drone-foreign-pilot-operator
5. カナダのドローン飛行の罰金制度
カナダは他国と同様に、ドローンの違反飛行に対する罰金刑がありますが、罰金額は、違反対象が個人か企業かで異なります。
個人 | 企業 | |
無免許飛行 | 最高1,000ドル | 最高5,000ドル |
無許可空域の飛行 | 最高1,000ドル | 最高5,000ドル |
未登録や無標識の ドローン飛行 | 最高1,000ドル | 最高5,000ドル |
他の航空機や人に 危険をおよぼず飛行 | 最高3,000ドル | 最高15,000ドル |
複数の違反飛行を行った場合、1番重い刑罰のみではなく重複して罰金が科されます。
また、あまりに悪質と判断されると懲役刑の可能性もあるため注意が必要です。
Transport Canada – Flying your drone safely and legally
https://tc.canada.ca/en/aviation/drone-safety/learn-rules-you-fly-your-drone/flying-your-drone-safely-legally
まとめ
カナダは、日本人の旅行先として人気がある国の1つです。
カナダ国民だけでなく、外国人でもドローンを飛ばす手続きがわかりやすいため、これからドローンの普及が高まるでしょう。
近くカナダを訪れる予定がある方は、雄大な自然を収めるドローン空撮を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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