【知る得ドローン】スペインのドローン制度を解説!手続きや禁止ルールも併せて紹介

知る得ドローン
イタリア

旅行や仕事でスペインを訪れた際、ドローンを使って美しい風景や貴重な瞬間を記録したいと考えている方は多いでしょう。

スペインはドローンパイロットに人気のある国の1つですが、いくつかのルールを遵守しなければなりません。

この記事では、スペインでのレクリエーションでのドローン飛行に関する規制や手続き、注意点について詳しく紹介します。

1. スペインのドローン制度

ドローン 夕日

スペインのドローン飛行は、AESA(スペイン航空安全庁)の管轄の下でEASA(欧州航空安全機関)のルールに基づいています。

しかし2024年6月25日以降、EASAを補足する形で新たな国内法が施行されたため、ドローン飛行を行う際は事前確認が必要です。

①スペインのドローンカテゴリ

表

スペインのドローンカテゴリは、以下の3つのカテゴリに分かれています。
カテゴリによって飛行可能空域や条件が異なるため、利用目的に合ったカテゴリライセンスを取得しなければなりません。

abierta(アビエルタ): EASAのOpenに相当
específica(エスペシフィカ): EASAのSpacificに相当
Certificada(セルティフィカダ): EASAのCertifiedに相当

この記事では、レクリエーション飛行に必要な「abierta(アビエルタ)」について解説します。

2. スペインでドローンのレクリエーション飛行を行う要件

ドローン 草原

スペインでドローンのレクリエーション飛行を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。

①オペレーター登録

②年齢制限

クラス

スペインにおけるドローン操作の最低年齢は16歳ですが、レクリエーションに該当する「abierta」カテゴリでは、クラス(以下「C」と表記)によって引き下げられています。

個人製造または2009/48の法令に準拠したトイドローンは制限なし
C0または250g以下のドローンは12歳以上
C1以上はすべて14歳以上

③トレーニングと試験を受ける

スペインでレクリエーション飛行を行うには、各カテゴリのトレーニングと合格証明書が必要です。

はじめにオンライントレーニングを完了し、レベルに該当する試験を受けます。

合格すると証明書が発行され、ドローンを飛行させる権利を得ます。

④保険に加入する

スペインでは、以下の条件に該当する場合、保険の加入が義務付けられています。

重量が20kgを超えるドローンを操縦するとき

なお、Openカテゴリ内におけるA1とA3は、20kg未満のドローンに限り加入義務はありません。

⑤リモート識別システム(DRI: Direct Remote Identification)を装備する

DRIとは、ドローンの基本的な情報をリアルタイムで送受信するシステムです。

ドローンのシリアル番号や位置、高度などが共有できるため、ドローントラブルを未然に防ぐことが可能になります。

DRIの装備は、スペインだけでなく日本やアメリカ、他のEU諸国でも義務付けられている法律です。

昨今では、あらかじめ内蔵されているものが大半ですが、機体によっては実装されてないタイプもあるため事前に確認しましょう。

⑥内務省にドローン登録する

2024年6月に施行された国内法によると、これまで免除されてきたドローン登録が義務となる、とあります。

しかし、そのプロセスが確立されていないため、2024年11月現在ではまだ運用されていません。

スペイン内務省の発表では、2025年の4~6月から登録を開始する見通しです。

3. スペインのレクリエーション目的の飛行ルール

スペインでレクリエーション飛行を行う場合、以下のルールを遵守する必要があります。

直接目視できる範囲で飛行する(オブサーバーがいる場合でも直接目視)
高度120m(400ft)以下で飛行する
・飛行中はカテゴリに適した合格証を携帯する
無許可での緊急活動地域の飛行は禁止
空港、管制空域、飛行場から離れる
建物や人との距離を離す
プライバシーに配慮し、無許可でその情報をアップロードしない
国立公園や野生生物保護区などの禁止区域を飛行しない
雨や霧などの天候不良時は飛行しない
有人航空機と遭遇した場合は速やかに着陸する
人混みの上空は飛行できない
危険物の輸送飛行は禁止
体調不良時やアルコール摂取時の飛行は禁止
事前メンテナンスを行う
・飛行時の申請や許可は不要

4. スペインにおける「abierta」のカテゴリ概要

カテゴリ

スペインにおいてレクリエーション目的でドローン飛行を行う場合、「abierta」カテゴリのルール内で飛行しなければなりません。

「abierta」にはサブカテゴリとしてA1~A3と分かれており、さらに細かくクラス分けされています。

ここでは、それぞれのサブカテゴリを解説します。

①A1(個人製造機 / レガシー / C0)の概要


該当スペック
・重量250g未満
・秒速19m/s以下
・全電動
講習・試験・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要)
飛行条件・高度120m(400ft)以下
リモートID・U-Spaceの登録・不要

重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、試験がなく年齢無制限、DRIの装備も必要ありません。

②A1(C1)の概要


該当スペック
・重量250g~900g未満
・秒速19m/s以下
・全電動

講習・試験
・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解
・A1クラスに相当するトレーニングの完了
・AESAによるオンラインテスト
飛行条件・高度120m(400ft)以下
・建物から水平距離5m以上離す
リモートID・
U-Spaceの登録
・必要

最も一般的なクラスであるC1は、スペインでの基本的なドローン飛行が可能になります。

A1の試験

問題形式筆記試験
問題数9つのテーマ:全40問
制限時間40分
合格ライン正答率75%以上
ライセンス
有効期限
5年

C1クラスは、自主トレーニングと試験の合格証明書が必要です。

試験は筆記で行われ、合格者には証明書が発行されます。

たとえ不合格だったとしても、最長24時間後に再試験が可能です。

なお、トレーニングと試験、登録は無料です。

③A2(C2)の概要

該当スペック・重量4kg未満
・全電動
講習・試験・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解
・AESAによるオンラインテスト

飛行条件
・高度120m(400ft)以下
・第三者から水平距離で30m以上離れる
(低速モードでは5m以上)
リモートID・
U-Spaceの登録
・必要


A2は、A1 / A3のライセンス所持が前提となっており、より高度な操作と知識が要求されます。

ライセンス取得には自主トレーニングが必要で、急旋回や限界速度の飛行、ドローンの異常事態への対応などのスキルが求められます。

自主トレーニングの際は、住宅地や商業地、レクリエーションエリアから水平距離で150m離れた人気のない場所で行います。

なお、トレーニング時間や回数は定義されていないため、スキルが確かなものになるまで練習しましょう。

AESA – GUÍA SOBRE COMPETENCIAS PARA LA AUTOFORMACIÓN DE HABILIDADES PRÁCTICAS EN SUBCATEGORÍA A2 PDF

A2の試験

問題形式筆記試験
問題数全30問
制限時間30分
合格ライン正答率75%以上
ライセンス
有効期限
5年

A2は、試験の難易度が高く設定されているため予習が欠かせません。

合格ラインはA1 / A3と同じですが、制限時間が短く、出題範囲も広くなっています。

なお、合格時や不合格時の要件は、A1 / A3と同じです。

④A3(C3 / C4 / 個人製造機)の概要


該当スペック
・重量25kg未満
・全長3m未満
・全電動
講習・試験・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解
・AESAによるオンラインテスト


飛行条件
・高度120m(400ft)以下
・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる
・第三者から水平距離で30m以上離れる
リモートID・
U-Spaceの登録
・必要
・模型航空機と個人製造機は不要


A3のライセンスは、25kg未満のドローン飛行を行う際に必要です。

ただ、飛行条件が異なるだけで、A1と同じ要件となっています。

A3の試験

問題形式筆記試験
問題数9つのテーマ:全40問
制限時間40分
合格ライン正答率75%以上
ライセンス
有効期限
5年


A3はA1と同様の試験に合格する必要があります。

つまり、A1のライセンスを所持していれば、筆記試験を受ける義務はありません。

5. 外国人がスペインでドローンを飛ばすには

ドローン 少年


EASA非加盟国の外国人がスペインでドローンを飛ばす場合、外国人向けの手続きを行います。

6. スペインの罰金制度受講カレンダー

ドローン 禁止エリア


スペインは、違反の重さと違反者の目的によって罰金額が異なります。

娯楽目的業務目的
軽度60~45,000ユーロ4,500~70,000ユーロ
中度45,001~90,000ユーロ70,001~250,000ユーロ
重度90,001~225,000ユーロ250,000~4,500,000ユーロ


レクリエーション飛行におけるスペインの罰金最高額は、225,000ユーロ(約3,700万円※2024年11月現在)です。

日本よりもはるかに厳しいドローン規制を設けているため、ルールに則った飛行を心がけましょう。

まとめ

イタリア02


スペインは、2024年6月からEASAを補足する形で、新たな国内法が制定されました。

そのため、一部の手続きはシステム面で追いついていない場合があり、サービスによってはカバーし切れていない部分もあります。

スペインでドローン飛行を行う場合は、事前に最新情報をチェックしましょう。


ところで、「おしんドローンスクール」ではドローンの国家資格が取得できることをご存じですか?

おしんドローンスクールで国家資格講習を学ぶ「4つのメリット」

おしんドローンスクール浜松校

メリット1:初心者でも安心して受けられる

おしんドローンスクールの国家資格講習は、ドローン操縦の基礎から実践まで、プロの講師が丁寧に指導します。少人数制で、一人ひとりのレベルに合わせて学習できるので、初心者でも安心して受け

られます。

メリット2:最短二日でドローン国家資格が取得できる

最短一泊二日でドローンの国家資格を取得することができます。忙しい方でも、短期間で資格取得を目指せます。

メリット3:e-Learningで忙しい方もスマホで簡単に学習可能

おしんドローンスクールの学科講習はe-Learningで完結します。パソコンやスマホで受講できるので、忙しい方でもスキマ時間に学習できます。

メリット4:屋外で広々と練習することができる

空撮体験など屋外で広々と練習することができます。屋外で練習することで、実践的なスキルを身につけることができます。自然豊かな場所の利点を活かした講習が可能です。