シンデレラ城のモデルになったとされるノイシュバンシュタイン城や、中世の街並みが色濃く残るロマンティック街道といった風景をドローンで空撮したい人は多いでしょう。
この記事では、ドイツのレクリエーション飛行に関する制度や手続き、カテゴリ別の概要や試験内容などを解説しています。
ドイツでのドローン空撮に興味がある方は、是非、最後まで読んでみてください。
目次
1. ドイツのドローン制度
2. ドイツのレクリエーション飛行におけるルール
3. ドイツのOPENカテゴリについて
①A1(個人製造機 / C0)
②A1(C1)の概要と試験内容
③A2(C2)の概要と試験内容
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)の概要と試験内容
4. ドイツにおける操縦者登録の手続き
①登録に必要なもの
5. ドイツでは日本人でもドローン飛行ができる?
6. ドイツ国内での違法なドローン飛行に対する罰則
まとめ
1. ドイツのドローン制度
ドイツのドローン法はLBA(連邦航空庁)が管轄しており、EASA(欧州航空安全機関)のルールで運用されています。
EASAは、ヨーロッパ全体の航空の安全を確保するために設立されたEUの専門機関です。
EASAの加盟国は以下の通りです。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
EASA加盟国内では、パイロットやドローン登録、取得したライセンスが共有されます。
つまり、イタリアでライセンスを取得すれば、そのライセンスはドイツでも有効です。
ただ、国によって独自のルールを追加している可能性があり、飛行前には事前に調べておくといいでしょう。
参考:https://www.lba.de/DE/Drohnen/Allgemeine_Informationen/Allgemeine_Informationen_node.html;jsessionid=76649360EEE3F3CAF613E13709F2040D.live11292
2. ドイツのレクリエーション飛行におけるルール
ドイツ国内のレクリエーション飛行のルールは以下の通りです。
・最低年齢原則16歳以上
-トイドローン、250g未満の個人製造機、所定のライセンス所持者の直接監督下は例外
・夜間飛行は緑色の点滅ライトを装備し直接目視できれば可能
・最高飛行高度120m以下
・最大重量25kg以下
・危険物の輸送禁止
・モノを落とさない
・政府が指定した地理的エリアの飛行は禁止
・飛行予定地域が許可されているか知りたい時はdipulを使う
・賠償責任保険に加入する
参考:
https://lba-openuav.de/en/air-law/uas-classification/
3. ドイツのOPENカテゴリについて
引用:EASA
ドローンのライセンスは、EASA準拠による「OPEN」「SPECIFIC」「CERTIFIED」の3つにカテゴリ分けされており、レクリエーション目的であれば「OPEN」ライセンスが必要です。
レクリエーション飛行に必要な「OPEN」カテゴリは、A1 / A2 / A3から構成され、A1/A3のライセンスはEU能力証明書、A2は遠隔操縦技能証明書が必要になります。
ここでは「OPEN」カテゴリについて解説します。
①A1(個人製造機 / C0)
引用:LBAのUAS分類
該当スペック | ・重量250g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) ・LBAによるオンライントレーニングコース推奨 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・U-Spaceの登録 | ・不要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
②A1(C1)の概要と試験内容
引用:LBAのUAS分類
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンライントレーニングテストの完了 ・オンライン筆記試験の合格 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
カテゴリA1とA3は、同じ内容のオンライントレーニングの完了とオンライン筆記試験を受験します。
オンライン筆記試験を受験するためには、LBAのWebサイトにおけるトレーニングテストで75%以上正解しなければなりません。
トレーニングテストに不合格だった場合でも、無料で何度でも挑戦できます。
A1/A3の試験概要
A1/A3のオンライン筆記テストの概要は、以下の通りです。
・制限時間:45分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:全体の75%以上
・受験料:25ユーロ
・証明書の有効期間:5年
オンライントレーニングコース、オンライン筆記試験はどのモバイル端末からでも受講・受験できます。
ただし、スマートフォンはオンライン筆記試験に推奨されていないため、パソコンかタブレットを用いると安心です。
参考:https://www.lba.de/DE/Drohnen/Fernpiloten/Kompetenznachweis_A1_A3.html
③A2(C2)の概要と試験内容
引用:LBAのUAS分類
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインコースとオンラインテスト ・自己トレーニング ・LBA認可テストセンターでの理論試験 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・第三者から水平距離で30m以上離れる (低速モードでは5m以上) |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
A2は、A1 / A3と異なり、以下の要件を満たさなければなりません。
・A1/A3のライセンス
・A3における実践的な動作条件の自習
・実践的独学修了宣言書の提出
・実践独学リモートパイロット宣言書の提出
・LBA認可試験センターで実施される理論試験に合格する
A2の試験概要
・学科:制限時間60分以内で行う選択式
-30問出題され、正しい解答を選択
-45点 / 60点中で合格
・受験料:30ユーロ(学科試験のみ)
・証明書の有効期間:5年
A2はOpenカテゴリで最もリスクが高いため、理論試験もさらに難しい設問が用意されています。
さらに、A2の理論試験はオンラインではなく、LBA認可の試験センターで受験します。
A2取得予定の方は、あらかじめ試験センターに近い滞在先を確保しておきましょう。
参考:https://www.lba.de/DE/Drohnen/Fernpiloten/Fernpiloten_Zeugnis_A2.html
④A3(C3 / C4 / 個人製造)の概要と試験内容
引用:LBAのUAS分類
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンライントレーニングテストの完了 ・オンライン筆記試験の合格 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・【第三者との安全距離】 -水平距離で30m以上離れる -1m高くなるごとに1m距離を開ける(1:1ルール) -ドローンが最高速度で2秒間飛行できる距離以上 |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 ・模型航空機と個人製造機は不要 |
A3は、A2ほど厳しい飛行条件ではありませんが、安全距離を長く保つことが必要です。
A3の試験概要
A3に該当するドローンを操縦する場合は、A1と同じオンラインテストを受験します。
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:60点以上 / 80点
・受験料:31ユーロ
・証明書の有効期間:5年
参考:
https://www.lba.de/DE/Drohnen/Fernpiloten/Kompetenznachweis_A1_A3.html
https://lba-openuav.de/en/air-law/uas-classification/
4. ドイツにおける操縦者登録の手続き
ドイツでドローン飛行を行う際、以下の要件に該当するドローンはLABの公式Webサイトからドローンと操縦者登録を行う必要があります。
・重量が250g以上
・カメラやセンサーを搭載したもの
・「SPECIFIC(特定)」カテゴリに該当するもの
カメラやセンサーなど、情報収集できる装備を搭載しているものは、250g以下でも登録義務が発生します。
①登録に必要なもの
登録に必要なものは以下の通りです。
・公的身分証明書(パスポートなど)のスキャン(PNG、JPG、JPUG)
・滞在先の住所がわかるもの
・メールアドレスと電話番号
・保険会社名と保険証券番号
オペレーターとして登録されると電子登録番号(e-ID)が割り当てられ、オペレーターが所有するドローンにこの番号が付きます。
登録手数料は20ユーロです。
参考:
https://www.lba.de/DE/Drohnen/UAS_Betreiberregistrierung/UAS_Betreiberregistrierung_node.html
https://www.dipul.de/homepage/en/information/general/registration-and-qualification/
5. ドイツでは日本人でもドローン飛行ができる?
日本人は、ドイツでもドローン飛行が可能です。
ただし、日本はEASA加盟国ではないため、ドローンとパイロット登録を現地で行う必要があります。
また、ドイツと日本ではドローン規制が異なることから、新たにライセンスを取得しなければなりません。
上記に加えて、海外で使える賠償責任保険の加入も忘れないようにしましょう。
参考:
https://www.lba.de/DE/Drohnen/FAQ/Uebersicht_FAQ_node.html;jsessionid=CF0498FB2C936026A98E7E4DE7AD976E.live21324
6. ドイツ国内での違法なドローン飛行に対する罰則
ドイツ国内で違法なドローン飛行を行った場合、LBAやDFS(ドイツ航空局)、地方自治体によって厳しく罰せられます。
違反例 | 罰金 |
制限空域での飛行 | 500~50,000ユーロ以上 |
未登録による飛行 | 最高1,000ユーロ |
無許可での高度超過 | 500~5,000ユーロ |
賠償責任保険未加入 | 1,500~5,000ユーロ |
プライバシー侵害 | 1,000~2,000万ユーロ(企業の場合年間売上高の最大4%の罰金) |
また、公共や国家の安全を脅かすドローン飛行を行った場合は、刑事告訴される可能性があります。
その場合、最長2年に及ぶ懲役や機器の没収などが考えられます。
参考:
https://www.flyeye.io/german-drone-regulations-penalties-and-enforcement/
まとめ
この記事では、ドイツのレクリエーション飛行に関するドローン制度について解説しました。
ドイツはEU加盟国であるため、EASAに準拠したルールでドローンを楽しむことができます。
荘厳なお城や中世の街並みなど、ロマン溢れる風景を空撮してみてはいかがでしょうか。
ところで、「おしんドローンスクール」ではドローンの国家資格が取得できることをご存じですか?
おしんドローンスクールで国家資格講習を学ぶ「4つのメリット」
メリット1:初心者でも安心して受けられる
おしんドローンスクールの国家資格講習は、ドローン操縦の基礎から実践まで、プロの講師が丁寧に指導します。少人数制で、一人ひとりのレベルに合わせて学習できるので、初心者でも安心して受け
られます。
メリット2:最短二日でドローン国家資格が取得できる
最短一泊二日でドローンの国家資格を取得することができます。忙しい方でも、短期間で資格取得を目指せます。
メリット3:e-Learningで忙しい方もスマホで簡単に学習可能
おしんドローンスクールの学科講習はe-Learningで完結します。パソコンやスマホで受講できるので、忙しい方でもスキマ時間に学習できます。
メリット4:屋外で広々と練習することができる
空撮体験など屋外で広々と練習することができます。屋外で練習することで、実践的なスキルを身につけることができます。自然豊かな場所の利点を活かした講習が可能です。