観光客に人気があるフランスでドローン飛行を楽しみたい方は多いでしょう。
この記事では、フランスのドローン規制や登録方法、注意しなければならない飛行ルールや罰則などを解説しています。
本記事を読むことで、日本ではあまり知られていないフランスのドローン規制を把握できるようになります。
これからフランスでドローン飛行を考えている方は、是非、最後まで読んでみて下さい。
目次
1. フランスのドローン制度
①フランスはEASA加盟国
②フランスのレクリエーション飛行におけるルール
2. フランスのレクリエーション飛行におけるカテゴリについて
①A1(C0 / 個人製造機)
②A1(C1)
③A2(C2)
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
3. フランスにおける登録の概要
4. 日本人はフランスでドローンを飛ばせる?
①フランスへのドローン持ち込みについて
5. フランスの違法なドローン飛行に対する罰則
まとめ
1. フランスのドローン制度
フランスは、欧州連合航空安全局(EASA)によるドローン規制を、フランス民間航空局(英:FCAA、仏:DGAC)が管理しています。
すべてのパイロットは、EASAのルールを遵守することが必要です。
①フランスはEASA加盟国
フランスはEASAに加盟しており、EASA加盟国内ではパイロット登録情報とライセンス情報が共有されます。
たとえば、ドイツでパイロット登録とライセンス取得を行った場合、フランスでもそのまま有効となります。
EASA加盟国は以下の32ヵ国です。
・EU
・アイスランド
・スイス
・スウェーデン
・ノルウェー
・リヒテンシュタイン
②フランスのレクリエーション飛行におけるルール
フランスでドローン飛行を行う際、EASAの規則に準拠した以下のルールを守る必要があります。
1. 最低年齢
・最低年齢14以上(自治体によって16歳の場合もある)
-250g未満のトイドローン、16歳以上のライセンス保持者の監督下なら年齢制限なし
2. 義務
・危険物(環境や人、財産に損害を与えるモノ)の輸送禁止
・有人飛行機を優先する
・他人のプライバシーを侵害しない(顔や車のナンバープレートなど)
・政府の指定エリアでの撮影禁止
・譲渡、破壊、盗難、紛失時は申告する
・800g以上のドローンは、信号装置を付ける
・C1~C3は直接遠隔識別システムを付ける
・向精神薬やアルコール摂取時、体調不良や視界不良時の飛行禁止
・夜間飛行禁止(日没の30分後から日の出の30分前)
・飛行前には、飛行プランの設定やドローンのメンテナンス、ライセンスの携行などを行う
・直接目視(1人称視点FPV時やフォローミーモード時は監視者が必要)
-A1はこの義務は免除、オブザーバーは推奨
・賠償責任保険加入
・高さ105mの建物の周囲50m以内を飛行する際、航空局の許可があれば、さらに15m高く飛行できる
・軍機が活動する低高度活動領域内では、900g以上のドローンは軍に通知する
3. 飛行禁止空域
・高度120m以上
・人混みの上空
・他人の頭上(250g以下は可能だが推奨されない)
・都市部の公共スペース
・各自治体が定めた飛行禁止エリア(例:パリ市内はドローン飛行禁止)
・飛行場や軍使用施設の周囲
・機密性の高い場所(産業、病院、刑務所、自然保護区など)
・緊急活動中付近(事故や災害現場など)
2. フランスのレクリエーション飛行におけるカテゴリについて
フランスにおけるドローンのカテゴリは、Ouverte(オープン)Spécifique(特定)Certifiée(認定)の3つに分かれています。
これらはドローンの重量と操縦リスクでカテゴライズされ、EASAに準拠したものです。
ここでは、娯楽目的で飛行させるためのオープンカテゴリについて解説します。
①A1(個人製造機 / C0)
引用:EASA – Requirements under the ‘open’ category
該当スペック | ・重量250g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・U-Spaceの登録 | ・不要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
②A1(C1)
引用:EASA – Requirements under the ‘open’ category
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインによる理論試験 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
C1に該当するドローンを操縦する場合、オンラインで受験する理論試験に合格しなければなりません。
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:60点以上 / 80点
・受験料:無料
・再試験可能
・証明書の有効期間:5年
オンライン試験に登録する方法はこちらから確認できます。
参考:
Formation catégorie Ouverte UAS
Préparez l’ExamenOpen A1/A3
③A2(C2)
引用:EASA – Requirements under the ‘open’ category
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オープンカテゴリの理論試験+自習型飛行 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・第三者から水平距離で30m以上離れる (低速モードでは5m以上) |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 |
A2は、A1 / A3カテゴリの合格が前提要件です。
A2の試験に合格すると、BAPD(Brevet d’Aptitude de Pilote de Drone)という商業目的や特定の状況下でのドローン飛行が可能になります。
・実技:自習型(ユーザーマニュアルに基づいた飛行)
・学科
-オンラインで行う場合は、カメラとマイクをオンにし、監視下で行われる
-制限時間60分以内で行う選択式
-30問出題され、正しい解答を選択
-45点 / 60点中で合格
・受験料:30ユーロ(学科試験のみ)
・再試験可能
・証明書の有効期間:5年
オンライン試験は、以下の環境が推奨されています。
・Mac Os 10.13, Windows 10, Linux Ubuntu
・8GB(4GBでも可)
・1GBの空き容量
・解像度720p以上のウェブカメラ、マイク
オンライン試験中の注意点です。
・部屋で1人で受験する
・発声禁止、また他の文書(媒体問わず)やアプリを見ない
・途中退席不可
・カンニングと思われる行為は厳禁
不正行為があったと判断されると不合格になります。
また、試験中はサードパーティ製アプリ(試験で使用しないブラウザやテキストエディタなど)やUSB、セカンドスクリーンの接続を禁止しています。
これができない環境ならば、DGAC認可の試験センターで受験しなければなりません。
DGAC認可の試験センターはこちらから、A2のオンライン試験の登録はこちらから確認できます。
問い合わせ先:月曜日~土曜日の9時30分~12時30分、または13時30分~17時00分まで
CodeN’GO:01 55 24 70 07
メール:questions@codengo.fr
参考:
Guide_categorie_Ouverte.pdf
Guide_candidats_OPEN_A2.pdf
Préparez l’ExamenOPEN A2
④A3(C3 / C4 / 個人製造機)
引用:EASA – Requirements under the ‘open’ category
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・オンラインによる理論試験 |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・立入管理区画のみ ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・第三者から水平距離で30m以上離れる |
リモートID・ U-Spaceの登録 | ・必要 ・模型航空機と個人製造機は不要 |
A3に該当するドローンを操縦する場合は、A1と同じオンラインテストを受験します。
・制限時間:60分
・問題数:40問
・解答方法:正解を選ぶ多岐選択式
・合格ライン:60点以上 / 80点
・受験料:無料
・再試験可能
・証明書の有効期間:5年
A3は、飛行条件が変わるだけで、ライセンス取得や試験登録の流れはA1と同様です。
参考:
Réalisez votreFormation Drone Pratique
Formation catégorie Ouverte UAS
3. フランスにおける登録の概要
操縦者登録 | ドローン登録 | |
登録要件 | 重量が250g以上、および250g未満のカメラやセンサーなどが搭載されているドローンを操縦する場合 | 重量が800g以上、および250g未満のカメラやセンサーなどが搭載されているドローン |
必要な情報 | ・公的機関発行の身分証明書 (パスポートなど) ・メールアドレス、電話番号 ・フランス滞在中の住所 ・賠償責任保険証明書 | ・種類 ・モデル ・メーカー ・製造番号 ・全装備の総重量 ・電子識別装置の情報 ・カメラやセンサーなどの情報 |
登録方法 | Alpha Tangoポータルから行う | |
登録料 | 無料 |
操縦者登録は、他のEASA加盟国で操縦者登録を完了している場合は必要ありません。
ドローン登録に関しては、他のEASA加盟国でドローン登録を完了している場合でも、フランス国内で再び登録しなければなりません。
なお、発行されたドローン登録番号は、30cm離れたところでも見やすい箇所に貼ることが義務付けられています。
それぞれの登録手順は、下記の参考項目から確認できます。
参考:
enregistrement_exploitant_uas.pdf
enregistrer_aeronef_telepilote.pdf
4. 日本人はフランスでドローンを飛ばせる?
日本人はフランス国内でのドローン飛行が可能です。
日本はEASA加盟国ではないため、操縦者登録とドローン登録、該当するカテゴリのライセンスを取得することでレクリエーション飛行が楽しめます。
①フランスへのドローン持ち込みについて
日本からフランスへドローンを持ち込むルールは、航空会社によって異なります。
例として、フランスの航空会社である「Air France」の規則を見てみましょう。
・リチウム金属電池(リチウム含有量が2g以下)またはリチウムイオン電池(100Wh以下)を内蔵したドローンは機内持ち込み可能
・お預け手荷物は不可
・1人につき電池20個までであれば事前許可は不要、それ以上の場合には事前許可が必要
事前に利用する航空会社の規則を確認しておくと安心です。
参考:Air France – 3 – 電気・電子機器および電池・予備電池
5. フランスの違法なドローン飛行に対する罰則
フランスでは、ドローン規則に違反すると重い罰則が科せられます。
以下は、その一例です。
規則違反 | 懲役1年と罰金75,000ユーロ |
パイロットの過失 | 懲役6ヶ月と罰金15,000ユーロ |
航空局からの 差し止め命令無視 | 懲役1年と罰金45,000ユーロ(増額あり) |
プライバシーの侵害(※1) | 懲役1年と罰金45,000ユーロ |
※1:無断でYoutubeやSNSにアップロードしたりするのも対象
上記は罰則の1例であり、自治体や違反の重さによって変わります。
また、他人の生命を危険にさらした場合は、懲役や罰金刑に加えてドローンの没収も追加される可能性があります。
ドローン飛行を行う際は、細心の注意を払って楽しみましょう。
参考:
Guide_categorie_Ouverte.pdf
Art. L. 6232-4 du code des transports
Art. L. 6232-12 du code des transports
まとめ
2023年の観光客数世界一になったフランスは、数多くの魅力的な文化や景観が存在します。
ただ、ドローン飛行に関しては厳しく、罰則も重いものとなっています。
フランスのドローン規制を遵守し、心ゆくまでドローン飛行を楽しみましょう。
ところで、「おしんドローンスクール」ではドローンの国家資格が取得できることをご存じですか?
おしんドローンスクールで国家資格講習を学ぶ「4つのメリット」
メリット1:初心者でも安心して受けられる
おしんドローンスクールの国家資格講習は、ドローン操縦の基礎から実践まで、プロの講師が丁寧に指導します。少人数制で、一人ひとりのレベルに合わせて学習できるので、初心者でも安心して受け
られます。
メリット2:最短二日でドローン国家資格が取得できる
最短一泊二日でドローンの国家資格を取得することができます。忙しい方でも、短期間で資格取得を目指せます。
メリット3:e-Learningで忙しい方もスマホで簡単に学習可能
おしんドローンスクールの学科講習はe-Learningで完結します。パソコンやスマホで受講できるので、忙しい方でもスキマ時間に学習できます。
メリット4:屋外で広々と練習することができる
空撮体験など屋外で広々と練習することができます。屋外で練習することで、実践的なスキルを身につけることができます。自然豊かな場所の利点を活かした講習が可能です。