
ポルトガルは、ドローン撮影や飛行を楽しむのに魅力的な場所として有名です。
美しい自然や歴史的な建築物、穏やかな気候など、ドローン愛好家にとって理想的な環境が揃っているポルトガルですが、近年、ドローン規制にも注力しています。
この記事では、ポルトガルのドローン規制やオープンカテゴリの概要、違反者に対する罰則などを解説します。
観光客でも楽しめるオープンカテゴリを中心にお伝えするため、ポルトガルへの旅行を考えている方は、最後まで読んでみて下さい。
ポルトガルのドローン制度

ポルトガルは、ANAC(国立民間航空機関)がドローン規制を管轄しています。
EASA(欧州航空安全機関)加盟国であるポルトガルはEASAのドローン規制に準拠している部分が多く、他のEASAの国でドローン飛行を経験した方であれば馴染みやすいでしょう。
EASA加盟国は、以下の国々です。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
なお、EASA加盟国同士ではパイロット番号とライセンスが共有されます。
CEクラスマークについて
ポルトガルを含むEUでは、ドローン飛行時にCEクラスマークが必要です。
このマークは、EUの安全基準を満たしていることを示すもので、2021年1月1日に導入されました。
クラスはC0~C6に分かれ、ドローンの重量や機能に応じて要件が異なります。
2023年以前に販売されたCEマークなしのドローンは、軽量機体や特定条件下で引き続き使用可能ですが、人の集まりや市街地では飛行が禁止されています。
現在はCEマーク付きのドローンが原則であり、規制がさらに厳格化される可能性もあります。
ポルトガルのオペレーター登録とドローン登録
ポルトガルでは、オペレータ―登録が義務付けされており、操縦するドローンによってはドローン登録も行わなければなりません。
ここでは、オープンカテゴリにおけるオペレーター登録とドローン登録の概要を解説します。
オペレーター登録の概要
対象 | ドローンを所有する個人、法人 |
最低年齢 | 16歳 |
登録先 | ANACの公式サイト |
必要書類 | ・氏名や住所(滞在先)が記載された公的機関発行の身分証明書 ・メールアドレス、電話番号 ・民事賠償責任保険番号(900g以上のドローン) |
登録費用 | 無料 |
所要日数 | 平均10営業日 |
有効期間 | 5年 |
法人で登録する場合は、法人番号や事業情報、飛行目的や飛行エリアなども提出します。
オペレータ―登録の申請は10日ほどかかりますが、書類の不備だったり混雑していたりすると遅れる場合があります。
また、オペレータ―登録をせずにドローン飛行を行った場合は、罰則の対象になるため注意しましょう。
ドローン登録の概要
対象 | ・ドローンの総重量が250g以上のもの ・ドローンの重量問わず、カメラやセンサーを搭載しているもの |
登録先 | ANACの公式サイト |
必要書類 | ・ドローンの重量や機種などが記載されている仕様書 ・民事賠償責任保険番号(900g以上のドローン) |
登録費用 | 50€(クラスマークの有無や特例で変動あり) |
所要日数 | 平均10営業日 |
有効期間 | 5年 |
ドローン登録が完了すると、登録番号(RID)が発行されます。
登録番号はドローンの目立つところに貼付し、リモート識別システムに入力する義務があります。
なお、カメラやセンサーを搭載していない250g以下のドローンは、ドローン登録が必要ありません。
ドローン登録は義務であり、これを怠ると罰せられる点に注意しましょう。
参考:https://www.anac.pt/SiteCollectionDocuments/UAS_DRONES/Plataforma%20Registo%20UAS_ANAC%20v3_singular.pdf
ポルトガルにおけるレクリエーション飛行について

ポ
ルトガルで娯楽目的でドローン飛行を行う場合、オープンというカテゴリ内のルールを遵守しなければなりません。
ここでは、ポルトガルのオープンカテゴリについてそれぞれ解説します。
オープンカテゴリの飛行ルール
ポルトガルにおけるオープンカテゴリの飛行ルールは、EASA準拠によるものが多いです。
おもに以下のルールが適用されます。
・直接目視(VLOS)
・最大飛行高度は地表から120メートル
・障害物から50m以内での運用や人工構造物上15mを超える高度での飛行は、特定条件下で許可。
・空港や救急医療ヘリポートの運航制限ゾーンでの運用は禁止
・救急活動が進行中のエリアは飛行禁止
・緑の点滅灯を装備することで夜間飛行が可能
・地理的エリアの制限や、環境・騒音規制、プライバシー保護への対応が必要
・CTR(管制区域)やATZ/TRMZ(交通情報区域)では、空港長の許可が必要
・向精神薬やアルコールの影響下、または怪我、疲労、投薬、病気、その他の原因により体調が優れない場合は飛行禁止
・900gを超えるドローンは、民事賠償責任保険へ強制加入
・オペレータ―登録後に発行される登録番号をドローン本体に貼付し、秘密の3桁を含む番号はリモート識別デバイスで使用
・危険物の運搬、投下の禁止
・製造元が推奨するソフトウェア以外での改造禁止
・ドローンによる事故を発生させた、または目撃した場合はANACに連絡する
3つのオープンカテゴリ概要

続いて、各カテゴリの概要を見ていきましょう。
A1の概要
該当スペック | 【CEクラスマーキングなし】 -アマチュア製作の無人航空機(250g未満、最大速度19m/s) -2023年12月31日までに製造された500g未満のドローン 【CEクラスマーキングあり】 -C0ドローン(250g未満) -C1ドローン(250~500g未満、遠隔識別システムと地理空間認識機能が必要) |
飛行エリア | ・集中している人の上を飛行可能(ただし、群衆の上は飛行不可) ・人の上を散発的に飛行する場合、速やかに飛行エリアを離れる必要あり |
試験や講習 | オンラインによるA1/A3の遠隔トレーニングおよび試験の完了、修了証明書の取得 |
特記事項 | ・個人データを収集するドローンの場合、ANACの許可が必要 ・航空測量や特定の運用には追加の許可が必要(詳細はANACで確認) |
A1では、軽量なドローン(250g未満のCEマーキング付きや500g未満の一部例外機)を使用し、他人の頭上を飛行できますが、群衆の上は禁じられています。
ドローンは地理空間認識機能や遠隔識別システムを備える必要があり、個人データ収集にはANACの許可が必要です。
試験はオンライン形式で行われ、75%以上のスコアが合格条件です。
A2の概要
該当スペック | 【CEクラスマーキングなし】 -2023年12月31日までに製造され、離陸質量が2kg未満のドローン 【CEクラスマーキングあり】 -クラスC2適合マーキングを有するドローン -直接遠隔識別システムと地理空間認識機能を搭載 |
飛行エリア | ・無関係な人の上空を飛行不可。・ 無関係な人から30m以上の距離を維持して飛行。・ドローンが低速モードに対応している場合、距離を5mまで縮小可能(要件に準拠) |
試験や講習 | ・A1/A3の遠隔トレーニング修了証明が必要 ・A2リモートパイロット能力証明書取得のための対面試験を受験 ・自己トレーニング(EASAの準拠手段に従う) |
特記事項 | ・250g以上のドローンはANACに登録必須 ・登録時、保険証書番号および有効期限の入力が必要(900g以上のドローンは保険必須) |
A2は、無関係な人から30メートル以上離れて飛行する必要があり、低速モードであれば最短5メートルまで接近可能です。
最大離陸質量が2kg未満のCEクラスマーキングなしのドローンや、C2マーキング付きのドローンが対象で、操縦するにはA2能力証明書とA1/A3トレーニング修了証が求められます。
商用利用も可能で、空撮や撮影などの用途に適しています。
A3の概要
該当スペック | 【CEクラスマーキングなし】 -アマチュア製作(自作)のドローン。 -2023年12月31日までに製造された25kg未満のドローン 【CEクラスマーキングあり】 -欧州クラスC0~C6適合マーキング付きドローン) -直接リモート識別システムおよび地理空間認識機能を備えたドローン(必要な場合) |
飛行エリア | ・無関係者がいないことを確認できる場合にのみ飛行可能。 ・住宅、商業、工業、レクリエーションエリア(都市公園やレジャーエリア)から150メートル以上離れた場所で運用 |
試験や講習 | オンラインによるA1/A3の遠隔トレーニングおよび試験の完了、修了証明書の取得 |
特記事項 | ・模型航空機の運用は2023年1月1日以降、クラブや協会内で許可されたエリアにおいて継続可能) |
A3では、住宅地や商業・工業地帯から150メートル以上離れた場所でのドローン飛行が求められます。
操縦中は無関係な人々を危険にさらさないよう十分配慮する必要があり、最大25kgまでのドローンを操縦できます。
試験はA1/A3遠隔トレーニングと試験を修了し、証明書を取得することで運用が認められます。
各カテゴリの試験について

ポルトガルにおけるドローンライセンスの試験は、EASA準拠です。
A1 / A3とA2では試験内容や受験方法が異なるため注意が必要です。
A1 / A3
・試験形式:オンライン試験(遠隔試験)
-ANACが提供する電子プラットフォーム
-試験はトレーニングコース終了後に即座に受験可能
・試験内容
-基礎的な航空法規
-安全なドローン運用方法(地理的制限、気象条件)
-緊急時の対応
-プライバシーおよびデータ保護規則
・受験料
-無料
・合格基準
-75%以上の正解率
-合格後、ANACから「A1/A3 修了証明書」が発行される。
・証明書の有効期限
-有効期間は5年間
-更新には再試験または更新トレーニングが必要
A2
・前提条件
-A1/A3トレーニングおよび修了証明書の取得
-自己トレーニングコース(A3サブカテゴリ)の完了
・試験形式:対面試験
-ANAC指定の施設で実施
-オンライン予約が必要
・試験内容
-A1/A3の基礎内容
-気象学(風速や気圧の影響)
-航空機の性能と運用の制限
-安全な飛行距離とリスク評価
・受験料
-50€
・合格基準
-75%以上の正解率で合格
-合格後、ANACから「A2能力証明書」が発行される
・証明書の有効期限
-有効期間は5年間
-更新には再試験または更新トレーニングが必要
なお、ポルトガルで取得した証明書はEASA加盟国間で相互認証されるため、他の加盟国でも有効です。
日本人でもポルトガルでドローン飛行できる?

ポルトガルでは、ポルトガル国民と同じ要件、手続きを行うことで日本人でもドローン飛行が可能です。
注意しておきたい点として、日本とEASAはライセンスの相互認証がされていません。
日本のライセンスを取得している場合でも、現地でライセンス取得を行う必要があります。
また、当然のことながら、ポルトガルにおける飛行ルールの遵守を徹底しましょう。
日本からポルトガルへドローンを持ち込む際の注意点
日本からポルトガルへドローンを持ち込む場合、リチウム電池の数とワット数に注意しなければなりません。
以下は、KLM航空におけるリチウムバッテリーの規定です。
ワット数(Wh) | 機内持ち込み | 受託荷物 | 事前許可 |
~100Wh | 可能(※1) | 可能 | 不要 |
101~160Wh | 可能(※2) | 可能 | 必要 |
161Wh~ | 不可 | 不可 | – |
※1:リチウム電池を搭載した電子機器15個、予備のリチウム電池20個まで可能
※2:機内持ち込みは許可が必要
機内持ち込みに関する注意点は以下の通りです。
・破損、欠陥、リコールされているものは持ち込み不可
・電池に含まれるリチウム含有量は2g以下
・予備電池は接触部分は非伝導性テープで覆う
リチウム電池の持ち込みは、利用する航空会社によって持ち込み規定が異なるため、事前に問い合わせましょう。
参考:https://www.klm.co.jp/information/baggage/restricted-items-hand-baggage
ポルトガルの違法なドローン飛行に対する罰則

ポルトガルにおけるドローンの違法飛行に対する罰則は、2021年10月20日に制定された「デクレト・レイ第87/2021号」に基づいています。
おもな罰則の対象は以下の通りです。
・飛行禁止空域での飛行
・未登録、ライセンス未取得での飛行
・適切な保険の未加入…etc.
違反した者は、違反の重さによって罰金刑が科されます。
・個人:数百~数千€
・法人:数千~数万€
※:1千€は約16万円、1万€は約160万円(2025年1月時点)
また、重大な罪を犯した場合は追加制裁が科される場合もあります。
・ドローンの押収や没収
・リモートパイロットの資格停止や取り消し
・一定期間のUAS運用禁止…etc
飛行前に現地のルールを確認し、法律の範囲内でドローンを飛ばしましょう。
まとめ

この記事では、ポルトガルのドローン規制について解説しました。
ポルトガルは、EASAのルールに基づいているため、他のEASA加盟国でドローン飛行を行った経験があればすぐに楽しむことができます。
また、はじめてドローン飛行を行う方でも、手続きが難しくないことからスムーズに申請可能です。
現地のルールを遵守し、ポルトガルでのドローン飛行を満喫しましょう。
参考:https://www.anac.pt/VPT/GENERICO/DRONES/Paginas/AeronavesCivisPilotadasRemotamente.aspx
https://www.aan.pt/
ところで、「おしんドローンスクール」ではドローンの国家資格が取得できることをご存じですか?
おしんドローンスクールで国家資格講習を学ぶ「4つのメリット」

メリット1:初心者でも安心して受けられる
おしんドローンスクールの国家資格講習は、ドローン操縦の基礎から実践まで、プロの講師が丁寧に指導します。少人数制で、一人ひとりのレベルに合わせて学習できるので、初心者でも安心して受け
られます。
メリット2:最短二日でドローン国家資格が取得できる
最短一泊二日でドローンの国家資格を取得することができます。忙しい方でも、短期間で資格取得を目指せます。
メリット3:e-Learningで忙しい方もスマホで簡単に学習可能
おしんドローンスクールの学科講習はe-Learningで完結します。パソコンやスマホで受講できるので、忙しい方でもスキマ時間に学習できます。
メリット4:屋外で広々と練習することができる
空撮体験など屋外で広々と練習することができます。屋外で練習することで、実践的なスキルを身につけることができます。自然豊かな場所の利点を活かした講習が可能です。