近年、ドローンとAIを活用した「デジタルツイン技術」が、防災や災害対策の現場で役立つと注目されています。
この技術を使えば、ドローンが災害現場を撮影し、そのデータをもとにAIが仮想空間に現場を再現できます。これにより、被害状況をすぐに把握でき、迅速な救助活動が可能になります。さらに、事前の災害シミュレーションにも活用できるため、地域住民の防災意識向上にもつながります。
この記事では、デジタルツインの防災・減災での活用方法やメリット、具体的な活用事例を紹介します。
目次
1. デジタルツインとは?防災・減災での活用
2. ドローンとAIの役割
3. デジタルツインの活用事例(和歌山県田辺市)
まとめ
1. デジタルツインとは?防災・減災での活用
デジタルツインとは、現実の建物や地域を仮想空間に「そっくりに再現する技術」です。この技術は、現実世界の物理的な環境や物体を、デジタルの形で忠実に再現することで、仮想空間上で現実と同じ状況をシミュレーションし、分析や予測が行えるようにするものです。もともとは製造業や建設分野で、設備や機械の運用や保守を効率化するために使われていましたが、近年では災害対策の分野でもその有用性が認識されています。
災害現場では、ドローンが撮影したデータをAIが分析し、建物の構造や地形などを仮想空間で再現します。これにより、現場の状況をリアルタイムで把握でき、避難計画の検証や迅速な救助活動が可能になります。また、デジタルツインは、津波や土砂崩れのシミュレーションにも活用され、どの地域がどの程度の被害を受けるかを予測するための強力なツールとなっています。
2. ドローンとAIの役割
デジタルツインを作成するにあたり、ドローンとAIの役割について説明します。
ドローンで災害現場の映像を撮影し、AIはそのデータを解析してデジタルツインを生成します。これにより、災害現場の様子を三次元の地図として再現できます。
以下の表に、ドローンとAIがどのような役割を果たしているかまとめました。
機能 | ドローンの役割 | AIの役割 |
情報収集 | 広範囲の撮影と高所からの観察 | データの解析・被害状況の視覚化 |
デジタルツイン生成 | 被災地の写真を撮影 | 仮想空間に現場を再現し共有 |
災害予測 | 災害前後の地形データ撮影 | 津波や土砂崩れのシミュレーション |
この技術により、自治体は少人数でも現場の状況を把握でき、災害発生時の対応が迅速になります。さらに、災害後の復旧活動だけでなく、事前の防災訓練にも役立つため、地域全体の防災力向上が期待されています。
3. デジタルツインの活用事例(和歌山県田辺市)
和歌山県田辺市では、デジタルツインを使った防災プロジェクトが進行中です。田辺市では災害が頻発する地域のため、ドローンを用いて周辺の状況を撮影し、AIがデータを解析してデジタルツインを作り上げています。今年、土砂崩れの現場で初めて導入され、少人数で短時間での被害の把握ができました。これにより、被害の実態を把握するスピードが格段に上がり、職員が現場に何度も出向く手間も省けるようになりました。
和歌山県田辺市建築課、田之上さんによると「南海トラフ地震が発生した場合、最大12メートルの津波が想定されています。デジタルツインを使えば、どれくらいの高さまで水につかるかが分かり、住民が垂直避難や水平避難を検討できるようになります」とのことです。
災害予測を見える化することで、住民の防災意識も高まり、より安全な避難が可能になります。
さらに、田辺市では、災害後の復旧作業の効率化にもデジタルツインが活用されています。これにより、現場への人員派遣を最小限に抑えつつ、正確な被害状況の把握が可能となり、復旧計画の迅速な立案が実現しています。
また、少ない職員での災害対応にも役立っています。以前は4人で1日かかっていた被害調査も、デジタルツインのおかげで2人が数時間で実施できるようになりました。これにより、人口減少が進む地域でも災害対応の効率化が期待されています。
田辺市の事例では、「色だけでなく実際の建物や地形の高さを見える化できるため、避難方法の選択に役立つ」と説明されており、ハザードマップにはないデジタルツインの具体的な視覚的効果が強調されています。
特徴 | ハザードマップ | デジタルツイン |
内容 | 被災時のリスクが色分けなどで示された平面図 | 現実の地形や建物を仮想空間で三次元に再現 |
使い方 | 避難場所やリスクエリアを確認 | 被害状況をリアルタイムに把握、避難計画の検証や災害対応 |
視覚的効果 | 色の違いでリスクを示す平面的な「見える化」 | 実際の建物の高さなどが反映され立体的な「見える化」 |
詳細度 | 全体的なエリアのリスクを大まかに表示 | 距離や高さなどの細部も再現可能でより具体的な把握が可能 |
災害対応への貢献 | 事前の災害リスク認識避難ルートの確認 | 災害発生後の被害確認復旧活動の迅速化リアルタイムシミュレーション |
主な活用シーン | 事前の備えや訓練 | 実際の災害現場での迅速な状況把握将来の災害予測 |
参考文献:
まとめ
ドローンとAIによるデジタルツイン技術は、災害時に現場の状況を「見える化」して、迅速な救助活動や事前の防災対策に役立ちます。和歌山県田辺市の事例では、土砂崩れ現場での状況把握がスムーズになり、災害時に人手が少なくても対応できるようになりました。さらに、この技術は事前の備えにも有効で、住民の避難行動や地域全体の防災力を向上させるツールとして注目されています。今後、こうした技術がさらに広がり、私たちの地域が災害に強くなることが期待されます。
デジタルツインは、これからの防災活動に欠かせないツールとして、多くの自治体や防災関係者によって導入が進められています。これにより、より多くの命を守り、被害を最小限に抑えるための強力な手段となるでしょう。
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