スイスのドローン制度を解説!手続きや禁止ルールも併せて紹介

知る得ドローン
スイス

美しい自然や歴史的建築物が点在するスイスは、日本人にも人気の国であり、その壮大な景観をドローンで空撮したい方も多いでしょう。

ただ、スイスはドローン飛行に関して、厳格な飛行制限や登録制度を設けている国です。

この記事では、スイスのドローン規制や飛行ルール、違反した際の罰則などを解説しています。

スイスのドローン撮影を検討している方は、是非、最後まで読んでみて下さい。

スイスのドローン規制

スイス2

スイスのドローン制度を管轄している主な機関は、スイス連邦民間航空局(Federal Office of Civil Aviation, FOCA / Bundesamt für Zivilluftfahrt, BAZL)です。

FOCA/BAZLは、スイスの空域におけるドローンの運用ルール、登録、許可、操縦者の資格要件などを管理しています。

また、EUの無人航空機システム(UAS)規制とも連携しているため、スイスのドローン規制はEUの標準に準じています。

スイスはEASAと協定を結んでいる

スイスはEASA(欧州航空安全庁)と協定を結んでいるため、オペレーター登録とライセンスが共有されます。

ただし、特定カテゴリの運用やはじめに登録した国のルールが変更したときなどは、スイスで再登録を行います。

EASAと加盟または協定を結んでいる国は以下の27ヵ国です。

・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス

スイスのオペレーター登録

ドローン

スイスでは、ドローンを操縦するすべての人にオペレーター登録を義務付けています。

最低年齢12歳以上(12歳未満の場合は、ライセンスを保有している16歳以上の監督下で操縦)
登録料・無料

必要書類
・氏名、住所、生年月日、電話番号などの連絡先詳細
・身分証明書(写真付きの証明書とその番号)・賠償責任保険の詳細(保険証券番号、保険会社名など)
有効期間・5年間

オペレーター番号の表示義務

発行されたオペレーター番号は車両のナンバープレートに相当し、ドローンに明確に表示する必要があります。

オペレーター番号は「CHExxxxxxxxx」のように表示され、最後の3桁(xyz)以外がわかるように明示しなければなりません。

推奨されている表示方法は、ステッカーやラベル、本体に彫るなどがあります。

スイスにおけるオープンカテゴリの概要

ドローン2

スイスでドローンのレクリエーション飛行を行いたい場合、オープンカテゴリの理解と資格は必須です。

ここでは、スイスのオープンカテゴリについて解説します。

オープンカテゴリの飛行禁止ルール

general rules
  • オープンカテゴリーでは、人々の集まり(例:コンサート、抗議活動など)の上空を飛行することはできません。

2. プライバシーを尊重する必要性

  • ドローン操縦者は、他人のプライバシーを尊重する義務があります。
  • 例えば、隣人の庭や窓越しに撮影することは許可されていません。
  • プライバシー侵害はスイス刑法(第179条)により罰せられる可能性があります。

3. 最大飛行高度

  • ドローンの最大飛行高度は地表から120メートルに制限されています。
  • この規則は、地形に応じた高さを考慮しながら適用されます。

4. 夜間の飛行ルール

  • 夜間飛行時は、ドローンに緑色の点滅ライトを点灯させる必要があります。
  • 夜間でも目視による視界(VLOS)を確保する必要があります。

保険の重要性

スイスでは、重量が250gを超えるドローンを操縦する場合、民事賠償責任保険に加入することが義務付けられています。

最低100万スイスフラン(※約1億7千万円)が補償される保険が条件であり、FOCAは、250g未満のドローンについても保険加入を推奨しています。

※2025年1月時点の為替相場

以下は、スイスの保険加入条件に適合する保険会社です。

保険会社最大補償額年間保険料
東京海上日動5億円14,150円
DJI賠償責任保険5億円21,150円

クラスマーク(CEマーク)について

CE marking

引用:FOCA Webinar

スイスのオープンカテゴリーにおけるドローンのクラスマークは、C0からC4の5つのクラスがあり、それぞれが操作可能な条件や安全基準を規定しています。

クラス識別ラベルは、CEマークと共に健康・安全・環境基準の適合を保証し、ドローン本体やバッテリーカバーに表示されます。

ラベルがないドローンでも、移行カテゴリーで一定条件を満たせば使用可能です。

サブカテゴリごとの要件

サブカテゴリ該当スペック試験・講習飛行制限
A1(C0)250g以下    不要他人や群衆の頭上飛行は禁止
A1(C0,C1)900g以下A1/A3試験の合格群衆の頭上飛行は禁止
A2(C0,C1,C2)4kg以下A1/A3証明書の保持およびA2試験の合格・群衆の頭上飛行禁止
・他人から30m以上離れる(低速モード時は5m)
・1:1ルール(※)
A3(C0~C4)25kg以下A1/A3試験の合格・群衆の頭上飛行禁止
・住宅地などから150m以上離れる
・他人から30m以上離れる(低速モード時は5m)
・1:1ルール

※ 他人からの水平距離と飛行高度を1:1に保つ

スイスのオープンカテゴリーでは、ドローンの重量や用途に応じてA1、A2、A3の3つのサブカテゴリーに分かれています。

A1は250g未満または900g未満のドローンで、無関係な人の上空を避ける必要があります。

A2は4kg未満で、無関係な人との距離を30m以上(低速モードでは5m)確保、A3は25kg未満の大型ドローンが対象で、住宅地や商業地から150m以上離れた場所で操作が必要です。

オープンカテゴリの試験

UAS

A1/A3試験

・試験形式: オンラインで実施、多肢選択式(40問)
・合格ライン:
75%以上の正答率
試験範囲: 基本的なドローン操作の規則、空域の安全性、プライバシー保護など
・試験時間:
約45分
・受験料:
無料
・有効期間:5年間

A2証明書試験

・試験形式: 理論試験(30問の多肢選択式)と実地訓練
・合格ライン:
75%以上の正答率
試験範囲: 高度な飛行規則、実践的な飛行スキル、安全性評価
・試験時間:
理論試験は約60分
・受験料:
無料
・有効期間:5年間

試験に合格すると合格証明書とともに、EASA加盟国で資格証明が可能になるリモートパイロットIDが発行されます。

車の運転免許証に相当するため、なくさないように厳重に保管しましょう。

日本人でもスイスでドローン飛行できる?

ドローン3


日本人がスイスでドローンを操縦する場合は、スイス国民と同じ登録要件や規則を満たすことで、合法的に操作することが可能です。

ほかのEU加盟国で既に登録している場合、スイスでの追加登録や証明書の再発行は不要です。

ただし、特定カテゴリの運用やはじめに登録した国のルールが変更したときなどは、所定の手続きを行います。

また、スイス国内で250g以上のドローンを操縦する際には、最低100万スイスフランの民事賠償責任保険に加入する必要がある点にも注意が必要です。

日本からスイスへドローンを持ち込む際の注意点

ワット数(Wh)機内持ち込み受託手荷物事前許可
~100Wh不可不要
101~160Wh可(最大2個)不可必要
161Wh~不可不可持込禁止

また、併せて以下の注意点も遵守しなければなりません。

予備のリチウム電池は端子を個別に絶縁する
101Wh~160Wh以下のリチウム電池を持ち込む場合、SWISSに事前許可が必要
故障や損傷した個人用電子機器やバッテリー、リコール対象製品は持ち込み不可
取り外し可能なリチウム電池を内蔵したスマートバッグは、バッテリーを事前に取り外し、機内持ち込み手荷物として運ぶことが必要

利用する航空会社の規約を事前に確認しましょう。

スイスのドローン規制に違反した際の罰則

スイスでドローン規制に違反した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。

罰金連邦民間航空法に違反すると、最大2万スイスフラン(※)の罰金が科されることがある
追加研修の受講違反の内容によっては、追加のトレーニングを受講するよう命じられる
操縦資格の取り消し重大な違反の場合、ドローンの操縦資格が取り消される可能性がある
禁錮刑特に深刻な違反行為に対しては、禁錮刑が科されることも考えられる

※ 約340万円(2025年1月時点)

これらの罰則は、違反の程度や状況に応じて裁判所が個別に判断します。

なお、道路交通違反のような標準的な罰則一覧は存在しません。 

まとめ

スイス

この記事では、スイスのドローン規制について解説しました。

スイスでは観光促進と環境保護の両立を目指しているため、それに沿ったドローン制度が敷かれています。

これからスイスへ行かれる方は、現地のルールを遵守したうえでドローン飛行を楽しみましょう。

参考:Federal Office of Civil Aviation FOCA  Questions & Answers on the drone regulation

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