日本の建築基準法では、建築物からの外壁などの落下による事故を防ぐため、定期的に建物を調査することが定められています。
従来であれば外壁調査は目視によって行われるのが一般的でしたが、近年では、ドローンによって行われるケースも増えつつあります。
今回は、ドローンを活用した外壁調査についてのメリット・デメリット、そして、資格の有無について詳しくみていきます。
目次
・ドローンによる外壁調査の方法
・ドローンの外壁調査のメリット
・ドローンの外壁調査のデメリット
・ドローンの外壁調査は資格が必要なのか
・ドローンの外壁調査の流れ
ドローンによる外壁調査の方法
ドローンの登場によって、近年では外壁調査の方法が大きく変化しています。
従来であれば、「打診調査」と呼ばれる外壁調査が一般的でした。
打診調査とはテストハンマーと呼ばれる道具で外壁をたたき、音の状態で劣化を判断する方法です。
この方法は、作業員による目視や触診などによって行われるため、精度も高いですが、調査の外壁一つ一つに対して行う必要があることから、時間や手間がかかる特徴もあります。
打診調査に代わりドローンを活用することで、大幅に効率化が可能です。ドローンを活用した外壁調査は大きく分けて2種類あります。
ドローンによる外壁調査方法 | 内容 | わかること |
可視光点検 | ・ドローンに搭載されたカメラを用いて外壁の損傷を確認 | 鉄部の錆/劣化状況 外壁タイルのひび割れ/欠損 外壁塗装面のひび割れ/欠損/塗膜の浮き/退色 |
赤外線点検 | ・赤外線サーモグラフィーを搭載し、外壁の表面温度分布から外壁の浮き/漏水箇所を確認 | 外壁タイルの浮き 漏水箇所 |
どちらの方法も外壁に直接触れることがないため、調査により外壁が損傷しないのが特徴です。
ドローンの外壁調査のメリット
ドローンを用いた外壁調査のメリットは以下の通りです。
メリット①調査コストを抑えられる
従来の外壁調査では、建築物を点検する際に足場を組む必要があります。これは、高い建築物になるほど大きなコストとなります。
ドローンによる外壁調査であれば、足場の設置が不要でコストを大幅に削減することが可能です。
具体的には下記程度、価格に違いがあります。
足場組み立て点検 | ドローン点検 |
30万円~100万円 | 5万円~30万円 |
メリット②調査時間が短い
ドローンの外壁調査は足場の設置が不要であるため、調査にかかる時間を大幅に短縮できます。
調査の規模によりますが、足場設置を含め半月から1ヶ月の期間のかかっていた外壁調査は、ドローンを使うことで、1日程度で調査を完了させることも可能です。
メリット③安全性を確保した調査ができる
足場の上で作業をする必要がないため、作業中の転落による事故やけがなどのリスクがなくなります。また、作業員の安全だけでなく、作業者が足場や外壁に触れないため、接触による外壁損傷も防げます。
ドローンの外壁調査のデメリット
メリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット①調査が天候によって左右される
ドローンは雨天や風の強い日には飛行が不安定になるため、調査ができません。ドローンの性能によっては、雨が降っていても飛行が可能な機体がありますが、調査を行う企業に確認しておく必要があります。
デメリット②ドローンが飛行できないところがある
調査する建物の場所によっては、飛行規制がある場所に該当して、ドローンを使用した調査ができないことがあります。
例えば、空港の近くや国の重要な施設から300m以内の場合は調査ができません。また、建物同士の間隔が近い場合はドローンの調査が厳しいことがあります。
ドローンの外壁調査は資格が必要なのか
ドローンを用いた外壁調査を仕事にするにはどうしたらいいのかと思う方もいらっしゃるでしょう。
ドローンを用いて外壁調査をする際に、ドローンの操縦する資格以外に、外壁の調査に関する資格は必要ありませんが、調査を行い、お客様に調査結果を正確に伝えるための書類作成などの技術や知識は必要となります。
以下では、個人でドローンを用いた外壁調査をしたいと考える人が準備する必要のあるものをみていきます。
①調査用ドローン
調査に使用するドローンは必要不可欠です。
調査用のドローンとは、一般に販売されている空撮用のドローンとは異なり、赤外線サーモグラフィーやレーザーなど調査の目的に合わせた性能を持つドローンを用いる必要があります。
価格は、数十万円から数百万円ほどで、非常に幅広い価格帯となっています。
②ドローン操縦資格
資格を持っていることで、飛行の許可申請を行う際に、操縦技術の証明ができるため申請が通りやすくなります。
ドローンの資格には、民間資格と国家資格があり、国家資格の場合は、申請が不要になるなど優遇措置があるので、これからドローンの資格を取得しようと検討している方は、国家資格の取得をおすすめします。
③調査方法・技術の習得
ドローンで取得したデータを分析して、お客様に調査結果を報告するための書類の作成方法などの技術を習得する必要があります。
ドローンを使った外壁調査のやり方を教えるスクールなどがありますので受講するなど、知識を得ることが必要になります。
④操縦技術
ドローンを安全に飛ばすための操縦技術を習得する必要があります。
建物の近くを単に飛ばすのではなく、データを正確に撮るため一定の距離、速度で飛ばす必要があるため、一定の操縦技術を得るための練習が必要になります。
まとめ
今回はドローンを用いた外壁調査のメリット・デメリット、必要な知識などをご紹介しました。これまでの調査と比べて、ドローンを活用することでコストや時間の面でも効率化が図れます。
資材の運搬や測量調査など外壁調査以外の仕事でもドローンが必要となるなど、ますます建設業でドローンの需要が増えることが予測されています。それに伴い、ドローンの操縦資格を持つ方の需要が増えてくると考えられます。
ドローン操縦資格の取得は、新しいキャリアにつながるチャンスです。ぜひ、自分の目的に合った資格を取得し、ドローンを活用した仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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