オランダと言えば風車を思い浮かべる方は多いでしょう。
オランダは、キンデルダイクの風車群やアムステルダムの運河網など多くの世界遺産があり、世界中のドローン愛好家に親しまれている国の1つです。
この記事では、オランダのドローン制度やレクリエーション飛行におけるルール、オープンカテゴリの概要などを解説しています。
本記事を最後まで読むことでオランダのドローン事情を把握できるため、オランダでドローン飛行を検討している方は、是非、最後まで読んでみてください。
1. オランダのドローン制度
オランダでは、オランダ航空局(Inspectie Leefomgeving en Transport, ILT)と、オランダ民間航空機関(Nederlandse Luchtvaartautoriteit, ILT)がドローン規制の管理、運用しています。
EASA(欧州航空安全機関)加盟国であるオランダはEASAのドローン規制に準拠している部分が多く、他のEASAの国でドローン飛行を経験した方であれば馴染みやすいでしょう。
EASA加盟国は、以下の国々です。
・EU
・アイスランド
・リヒテンシュタイン
・ノルウェー
・スウェーデン
・スイス
なお、EASA加盟国同士では、パイロット番号とライセンスは共有されます。
参考:https://www.ilent.nl/onderwerpen/themas/luchtvaart
2. オランダのオープンカテゴリについて
オランダにおけるドローンの分類は、娯楽目的か商用目的かではなく、リスクや重量でカテゴライズされています。
ここでは、オープンカテゴリの飛行ルールと、それぞれのサブカテゴリについて解説します。
オランダのレクリエーション飛行におけるルール
オランダにおけるオープンカテゴリの飛行ルールは、以下の通りです。
・最大高度 120 メートルまで
・危険物の輸送と物を落下させる行為は禁止
・原則直接目視
-オブザーバーがいる場合は1人称視点飛行が可能
・夜間飛行禁止
-日の出の15分前から日没15分後まで
・ライセンスは16歳以上
-16歳未満は16歳以上のライセンス保持者の監督下で飛行可能
・総重量20kg以上のドローン操縦時は賠償責任保険加入
-20kg未満は任意
・禁止区域での飛行禁止
-アプリで確認する
・他の航空機が近づいてきたらすぐに安全な場所に着陸する
・C0以外のドローンはリモートID搭載義務
-2024年1月1日以降に販売されたドローンには組み込まれている
-リモートIDがない場合は製造元からアドオン購入
・ドローンによる事故や事件はILTに報告をする
・緊急活動中のエリア付近の飛行禁止
・他人のプライバシーを侵害しない
-無許可でのYoutubeやSNSにアップロードなど
・クラスに該当するカテゴリマークラベルを貼る
A1(個人製造機 / C0)

250g未満の トイドローン | 重量250g未満の ドローン | 250g未満のドローン(カメラやセンサーを搭載) | |
講習・試験 | 不要 | 不要 | ユーザーマニュアルの理解(個人製造機は不要) |
飛行条件 | 他者の頭上飛行可能 | 一般規則 | 一般規則 |
オペレーターIDの登録 | 不要 | 不要 | 必要 |
重量250g未満に該当するトイドローン(個人製造機も含む)は、機体やリモートIDの登録が不要です。
また、年齢制限がなく、推奨されていませんが群衆を除いた第三者上空の飛行も許可されています。
しかし、機体にカメラやマイクが搭載されている場合は、オペレーター登録と機体登録が必要です。
参考:https://www.ilent.nl/onderwerpen/drones/categorie-open
A1(C1)

年齢制限 | 16歳以上 |
該当スペック | ・重量250g~900g未満 ・秒速19m/s以下 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・A1 / A3のオンラインテスト |
飛行条件 | ・一般規則 ・他人や人混みの頭上飛行禁止 ・他人や動物などから安全な距離を保つ ・リモートIDのアップデート |
オペレーターIDの 登録 | ・必要 |
A1(C1)は、250g未満のドローンを都市部で飛行するための基本的な資格です。
このライセンスでは、人や建物に近づけることができますが、リスクを避けるため、近距離での飛行は制限されます。
参考:https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/drone/vraag-en-antwoord/regels-drone-laag-risico
A2(C2)

年齢制限 | 16歳以上 |
該当スペック | ・重量4kg未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・A1 / A3ライセンス取得が前提 ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・指定スクールでのオンラインテスト ・実践的な自己トレーニング |
飛行条件 | ・一般規則 ・他人の上空飛行禁止 ・第三者から水平距離で50m以上離れる (低速モードでは5m以上) ・リモートIDのアップデート |
オペレーターIDの 登録 | ・必要 |
A2(C2)は、より重いドローン(最大4kg)を操縦するための資格です。
このライセンスでは、人口密集地の近くでの飛行が許可されますが、第三者から水平安全距離50m以上を保つ必要があります。
A2は、レクリエーションよりも商業利用で取得するケースが多く見られます。
参考:https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/drone/vraag-en-antwoord/regels-drone-laag-risico
A3(C3 / C4 / 個人製造機)

年齢制限 | 16歳以上 |
該当スペック | ・重量25kg未満 ・全長3m未満 ・全電動 |
講習・試験 | ・製造ドローンのユーザーマニュアルの理解 ・A1 / A3のオンラインテスト |
飛行条件 | ・高度120m(400ft)以下 ・住宅地、商業地、工業地、レジャー区域から水平距離で150m以上離れる ・第三者から水平距離で30m以上離れる ・リモートIDのアップデート |
オペレーターIDの 登録 | ・必要 ・模型航空機と個人製造機は不要 |
A3(C3 / C4)は、オープンカテゴリの中で最も広範囲に飛行できる資格です。
このライセンスを持つことで、人口密集地から離れた場所での飛行が許可されます。
ドローンの最大重量が25kgまで対応可能で、安全性を重視した規定があります。
参考:https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/drone/vraag-en-antwoord/regels-drone-laag-risico
3. オランダのオープンカテゴリの試験について
オランダのオープンカテゴリの試験は、政府機関ではなく政府指定のドローンスクールで受験します。
以下は、各ドローンスクールの料金表です。
A1 / A3 | A2 | A1 / A2 / A3 | |
Drone Class | €84 | €84 | €169 |
Drone Flight Academy | €79.99 | €100 | €159.99 |
Dutch Drone Academy | €39.95 | €99.90 | – |
OmniDrones Academy | €75 | €100 | €175 |
Noordzee Drones | €99 | €129 | €199 |
EuroUSC-Benelux | 要問合せ | ||
NLR Drone Centre | 要問合せ | ||
UAV+ | 要問合せ |
※2024年12月時点の料金
※すべて付加価値税込みの料金
ドローンスクールは、試験だけなく、試験に向けた学習やオンライントレーニングなども提供しています。
上記はそれらのセット料金であり、スクールによって提供する内容も異なります。
試験に必要なものは以下の通りです。
・パソコン:デスクトップでもラップトップでも可能
・ウェブカメラとマイク
なお、合格後に発行されるライセンスは5年間有効です。
A1 / A3の試験概要
オランダのA1 / A3試験は、政府指定のドローンスクールでオンライントレーニングの完了とオンラインテストに合格する必要があります。
試験概要は以下の通りです。
問題数:40問
問題形式:複数の回答から正解を選ぶ多岐選択式
合格ライン:75%以上の正答率
試験日の指定はないため、連絡を取り合ってから希望する日にちを決定します。
A2の試験概要
A2の試験は、以下の通りです。
問題数:30問
問題形式:複数の回答から正解を選ぶ多岐選択式
合格ライン:75%以上の正答率
A2はA1 / A3ライセンス所持が前提となり、テストの内容がより難しく設定されています。
また、A2はオンラインテストだけでなく、自身で以下の操作を身につけなければなりません。
・安全な離陸と着陸
・指定された空間内にとどまる精密な飛行操縦
・四方八方に浮かんだり定位置をさまよったりする特殊な操作
・メーカーのユーザーマニュアル記載の異常な状況下での緊急手順
これらを自己トレーニングで習得できたのち「実践的な自己トレーニング完了の宣言書」に入力して提出します。
なお、ドローンスクールでは自己トレーニングや知識の習得を手助けしてくれるコースもあります。
参考https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/drone/vraag-en-antwoord/vliegbewijs-drone
4. オランダのオペレーター登録の概要
オランダでは、カメラやセンサーを搭載、または250g以上のドローンを1機以上所有する操縦者はオペレーター登録が必要です。
必要書類 | ・公的機関発行の身分証明書:パスポートやIDカードなど ・住所証明書:住民票や直近の公共料金請求書など ・メールアドレス、電話番号 ・賠償責任保険証明書(20kg以上のみ) |
登録費用 | €10 |
有効期間 | 1年間 |
RDW(Rijksdienst voor het Wegverkeer)のWebサイトからオペレーター登録を行います。
登録したオペレーター番号は、ドローンの外側に明確に見えるように貼りましょう。
参考:https://www.rdw.nl/particulier/voertuigen/drone/het-vliegbewijs-en-het-exploitantnummer-van-een-drone/aanvragen
5. 日本人はオランダでドローンを飛ばせる?
オランダでは日本人でも、オペレーター登録とライセンスを取得することでドローン飛行が可能です。
また、他のEASA加盟国で登録が完了していればオランダでのオペレーター登録は免除されます。
https://www.rdw.nl/particulier/voertuigen/drone/het-vliegbewijs-en-het-exploitantnummer-van-een-drone/aanvragen-als-u-niet-in-nederland-woont
オランダへのドローン持ち込みについて
日本からオランダへドローンを持ち込む場合、リチウム電池の数とワット数に注意しなければなりません。
以下は、KLM航空におけるリチウムバッテリーの規定です。
ワット数(Wh) | 機内持ち込み | 受託荷物 | 事前許可 |
~100Wh | 可能(※1) | 可能 | 不要 |
101~160Wh | 可能(※2) | 可能 | 必要 |
161Wh~ | 不可 | 不可 | – |
※1:リチウム電池を搭載した電子機器15個、予備のリチウム電池20個まで可能
※2:機内持ち込みは許可が必要
機内持ち込みに関する注意点は以下の通りです。
・破損、欠陥、リコールされているものは持ち込み不可
・電池に含まれるリチウム含有量は2g以下
・予備電池は接触部分は非伝導性テープで覆う
リチウム電池の持ち込みは、利用する航空会社によって持ち込み規定が異なるため、事前に問い合わせましょう。
参考:https://www.klm.co.jp/information/baggage/restricted-items-hand-baggage
6. オランダにおける違法なドローン飛行に対する罰則
オランダでドローン規制に違反した際は、罰金刑や懲役刑、ドローン没収などの罰則が科される可能性があります。
これはオランダだけでなく、世界的にドローン規制が厳しくなる傾向にあるため、国を問わず現地のルールを遵守しなければなりません。
参考:https://sulmanofficial.medium.com/drone-laws-in-the-netherlands-can-you-fly-a-drone-in-netherlands-54c5a7e16859#:~:text=In%20the%20Netherlands%2C%20operating%20a,forth%20by%20recognized%20training%20organizations.
まとめ
この記事では、オランダのドローン制度やレクリエーション飛行に関するルールなどを解説しました。
オランダはドローン規制が厳しめに設定されているとの見方があるため、これから現地でドローン飛行を行う際は、十分なルール確認が求められます。
数多くの景勝地があるオランダで、心ゆくまでドローン飛行を楽しみましょう。
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